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愛おしい標識たち。道路標識愛好家・山﨑賀功の東京編愛スポット

この街とそこに息づくもの、こと、場所を愛してやまない人たちがいる。飲食をはじめカルチャーやエンタメ、さらに建築や公共物に都市の風景まで、マニアが極私的に案内する東京偏愛スポット。


本記事は、BRUTUS「ブルータスの東京大全」(2025年4月1日発売)から特別公開中。詳しくはこちら

illustration: Kazuma Mikami / text: Gaku Yamazaki / edit: Mo-Green

黙々と使命を全うする、愛おしい標識たち

道路標識をじっくりと観察したことはありますか。幼少の頃、交通の教本が目に留まり、道路標識一覧のページの虜(とりこ)になって以来、私は、ひたすら道路標識を追いかけてきました。

特にマニア心をくすぐるのが「指定方向外進行禁止」の標識。進行可能な方向や禁じられた方向を示すもの。その特性上、交差点の形状に合わせるため個性豊かで、「異形矢印」の愛称で撮り集めています。

どんな楽しみ方があるかというと……例えば、北区豊島にある「異形矢印」は、超複雑!墨田区「四ツ木橋南」交差点には、妖怪みたいな不気味すぎる矢印が鎮座。西東京市のひばりヶ丘駅前では、矢印が突然Uターン!複雑怪奇であるほどたまらない!そんな標識を見るたび「どうしてこんな形になったのだろう」と、思わず興味をそそられます。

さらに奥が深いのが、線の曲直。推しの矢印は、曲がりくねったものか、シャキッとしたものか……ここも好みの分かれどころです。前者ならば、足立区「四家」交差点の、妖しいうねりが惑わす矢印、後者ならば、板橋区「志村坂上」交差点の、直線的なフォルムが潔い矢印は外せません。

また、「この形、アレに見える!」なんていうのもあります。足立区千住桜木には、植物みたいなかわいい矢印。まるでヒトや文字に見えるものも。真面目なつもりが、思いがけず変な形になっちゃう、そんなところが愛くるしい……。標識たちは、今日もけなげに頑張っています。

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