「ミネラルフェア」というイベントをご存知だろうか。まずミネラルとは、鉱物のことを指し、鉱物標本、化石、隕石、ジェム(宝石や貴石)を展示・販売するのがミネラルフェアだ。日本でも各地で行われていて、愛好家から初心者まで、非常に多くの人が鉱物ハントを楽しんでいる。
そして毎年5月に行われるのが、この「東京国際ミネラルフェア」、通称“新宿ショー”である。国内では最大規模の鉱物イベントであり、毎年約2万人のファンが訪れるほど。まだ日本で「ミネラル」という言葉が流行る前の1988年からイベントをスタートし、今年で35回目を迎える。
新宿ショーの最大の特徴は、海外ディーラーたちの出店も含め、世界中の鉱物に出合えること。国内でこれほどまでに多くの海外ディーラーが出店するイベントはほとんどなく、業界関係者も要注目のショーなのだ。
昨年は新型コロナウイルスの影響で海外からの出店は見送られたが、今年は彼らが戻ってくるとあり、異国情緒溢れる特別な雰囲気が漂っていた。さらに今年は過去最大となる200を超えるディーラーが、イチオシのミネラルを持ち寄っているため、なかなかお目にかかれない特別な一品に出合えるチャンス!
異国情緒溢れる新宿ショーでチェックするべきディーラーたちを紹介
アメリカ〈Pala International〉
まずはアメリカの〈Pala International〉。世界一の鉱物コレクターであるビル・ラーソンさんが代表を務める、業界でも指折りの名ディーラーだ。ハイクオリティな鉱物標本の数々は流石のラインナップ。写真はビルさんの息子のウィルさん夫婦。気になった鉱物について尋ねると、ウィルさんは少年のような顔つきで嬉しそうに教えてくれる。
イタリア〈Zoic Srl.〉
続いて、イタリアより参加の〈Zoic Srl.〉。豊富な品揃えが人気で、化石のラインナップも素晴らしい。さらに、同種の鉱物が複数個揃っているため、形やサイズの違いを見比べて選べる。
フランス〈Mineral’ys〉
フランスのブレストにブティックを構える〈Mineral’ys〉。ハイクオリティな標本が揃い、日本がとても好きと語る陽気なパスカルさんが丁寧に接客してくれる。
インド〈Mono International〉
30年以上参加しているインドの〈Mono International〉。今年は3年ぶりの出店という。インドでは有名な鉱物一族のザベリさんがセレクトする、インド産鉱物たちに注目。
フランス〈Gem France〉
フランスの有名宝石店〈Gem France〉。こちらはルース・ストーン(カットされ研磨された石)が中心。
日本に店を構える海外鉱物ディーラーたちのブースも必見!
〈Himalayan Gems, Nepal〉
西葛西から〈Himalayan Gems, Nepal〉。ヒマラヤ産のクォーツを買うならここ。
〈STARBORN〉
鉱物標本から化石、アクセサリーまで揃う〈STARBORN〉。
マニア垂涎のスペシャルコレクションが並ぶ3年ぶりの特別展
新宿ショーの人気ブースの一つ「特別展」が3年ぶりに開催。これまで、スリランカの宝石展や鉱物写真展、鉱物顔料展などユニークな企画で愛好家を魅了してきた。今年は鉱物ファンから絶大な人気を誇る「ロードクロサイト」をテーマに、スペシャルな展示となっている。
ロードクロサイトは世界中で産出し、その産地によって結晶の形状が変わる鉱物。それゆえファンが多く、ここでは様々な表情のロードクロサイトが見られる。
鉱物世界の魅力に迫る「珍奇鉱物」特集
上記で紹介したのは、ショーのほんの一部であり、どの店も個性的で、きっと一日では見切れないほどたくさんの鉱物に出合えるイベントだ。鉱物趣味の黎明期から続く歴史あるショーは、「地球を楽しむ」というテーマの通り、自然が生み出す驚異のデザインに魅せられた多くの人たちの熱気に満ちていた。鉱物が好きという人はもちろんだが、まだ知らない人にこそ、その世界に一歩足を踏み入れてみてほしい。
そしてそんな鉱物趣味の世界をBRUTUSも特集した。「珍奇鉱物」特集は6月1日発売。〈USK MINERALS〉の内田祐介さんや〈PEANUTS MINERALS〉の亀田和人さんらのスペシャルコレクションを撮り下ろした魅惑の鉱物図鑑から、世界最大のミネラルショー・レポート、驚異の巨大アクアマリン採掘記、世界一のコレクターであるビル・ラーソンさんのお宝コレクションまで!鉱物のことがもっと好きになる一冊になっている。