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【今日のギフト】想像を超えるやわやわ感。〈菓游茜庵〉の「淡柚(あわゆう)」

あの人の笑顔が見たい。お世話になっている友達や家族、恋人に贈りたい、ちょっと楽しいプレゼントを毎日紹介。

photo: Shu Yamamoto / text & edit: Yoko Fujimori

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和菓子を愛するあの人へ
柚子が香る、夢のように柔らかな餅菓子

〈菓游茜庵〉の「淡柚(あわゆう)」

徳島市の中心地、徳島城跡を望む静かな通りに立つ〈菓游 茜庵〉。庵主である西川佳男さんが昭和55年に創業した店だ。地元の食材を使い、隅々まで職人の仕事が行き届く真摯な菓子作りで高い人気を誇る。暖簾の屋号やパッケージの菓銘などの、スッと凛々しい文字は全て庵主の筆によるものだ。

そんな〈菓游 茜庵〉の創業以来の代表銘菓が「淡柚(あわゆう)」。まず目を奪われるのが和紙の包み紙の美しさ。これも庵主の考案で、着物を包む「たとう紙」から着想を得たのだとか。

包みをそっと開くと、中には透き通るような純白のお餅が。羽二重粉に卵白を泡立てたメレンゲを合わせ、夢のようにデリケートな生地を練り上げる。それはもう驚くほどやわやわ&すべすべな触り心地で、まさに“赤ちゃんのほっぺ”のよう。

白い肌からかすかに透けるのは柚子が香る翡翠餡。北海道産小豆を一粒ずつ皮をむき丹念に仕上げた薄墨餡をクチナシで美しい翡翠色に染め、四国の名産・北川柚子の皮で香りづけ。隠し味の白味噌でほんのり塩みをプラスする。

信じられないほどやわやわな生地をそっと頬張ると、豊かに溢れる北川柚子の香りとともに餡の風味が広がり、白味噌のまろやかな塩気が後味を引き締める。お餅も、餡の口どけも、限りなくデリケート……!

開くとお懐紙のようになる包装も上品かつ食べやすく、お茶席の菓子として愛されるのも納得。慶事や改まったご挨拶にも安心してお持ちできる、気品あふれるロングセラーだ。

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