点心を愛するあの人へ
伝統の味を真摯に伝える中華まん
〈星ノ厨房〉の「菜肉包」
横浜中華街に1949年に創業し、宮大工の手による豪奢な木造建築とともに華々しい歴史を刻んだ〈華勝楼(かしょうろう)〉。
2016年に惜しまれつつ閉店したこの店の名物「菜肉包(野菜まん)」を再現し、今に伝えるのが〈星ノ厨房〉の店主・星大介さんだ。星さんにとって〈華勝楼〉は中国料理を学んだ最初の店であり、いわば自身の料理人としてのルーツ。その後〈煌蘭 丸の内店〉〈古月 池之端本店〉で研鑽を積み、荒川区の実家の工場の一部を改装し、2022年に自身の工房を開いた。
「菜肉包」は多くの思い出がある〈華勝楼〉の閉店を知ったことがきっかけで、記憶を頼りに味の再現を始め、販売に至ったのだとか。
「菜肉包」はたっぷりと使った小松菜が特徴で、脇を固めるのは豚挽肉と干し椎茸、長ネギ。ほんのり甘みのある、しっとりときめ細かな生地を一口かじると、小松菜の鮮やかなグリーンが目に飛び込んでくる。小松菜の瑞々しさに豚肉や干し椎茸が甘み&旨味をプラスし、自家製ネギ油がふわりと香る!うーん、これは名作。2口、3口で完食できる小ぶりなサイズ感もいい。
もう一つ、星さんのオリジナルという「豆沙包(あんまん)」もおすすめ。黒ごま餡は通常の小豆でなく和菓子の白餡に使われる白いんげん豆をベースにしており、砕いたクルミがアクセント。コクのある黒ごま餡でありながらどこか和菓子を思わせる軽やかな口どけで、左党の方々にも喜ばれそうなおいしさだ。
点心類は全て冷凍で発送。“レンチン”でもOKだが、やはりこの伝統のあんのおいしさを存分に引き出すならば、蒸篭で蒸して賞味したい。