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【今日のギフト】“手づくり最中”の元祖。〈たねや〉の「ふくみ天平」

あの人の笑顔が見たい。お世話になっている友達や家族、恋人に贈りたい、ちょっと楽しいプレゼントを毎日紹介。

photo: Shu Yamamoto / text&edit: Yoko Fujimori

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和菓子を愛するあの人へ
最中種の香ばしさに感動、老舗菓子舗の代表銘菓

“手づくり最中”の元祖。〈たねや〉の「ふくみ天平」

明治5(1872)年、滋賀県は近江八幡で創業した老舗菓子舗〈たねや〉。全国に30店舗以上を展開する現在も、生菓子から日持ちのする贈答菓子まで、名水どころで知られる滋賀県愛荘町愛知川の本社工場で一貫製造を行なっている。これは菓子の要である餡を愛知川の良質な地下水で炊くため。こうしたこだわりがブレのないおいしさを生み、全国に広く愛されている。

そして昭和58(1983)年の発売以来、〈たねや〉の代表銘菓となっているのが「ふくみ天平(てんびん)」。先代の9代目当主が、「できたてパリパリの最中を職人さんしか味わえないなんてもったいない」と一念発起し、作りたてのおいしさを伝えたいと開発。

糯米の名品種、滋賀県産「滋賀羽二重糯」を使用した焼きたての最中種(皮)は、驚くほど香ばしく風味も濃厚。北海道の契約農家から仕入れる小豆を名水で炊き上げた自慢の餡の中には、福を招くというお餅(求肥)が隠されている。この求肥も「滋賀羽二重糯」で作られており、むっちりときめ細か。

最中種と餡はそれぞれ個別包装になっており、食べる直前に自身で組み合わせる。そう、今ではすっかりお馴染みになった、いわゆる“手づくり最中”の元祖なのだ。

パリパリ、サクサクと弾ける皮の香ばしさ、香りのよい滑らかな餡、そして噛むほどに甘みが増す餅(求肥)の三位一体!

食べやすさ、味の良さ、そして品のある意匠の控えめな美しさ。どなたにも安心して贈れる、近江が生んだ手土産の名品だ。

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