フランス菓子を愛するあの人へ
シェフが現地の思い出の味を再現したシグネチャー
〈Taisuke Endo〉のクグロフ
2024年7月、学芸大学駅の東口商店街にオープンし、話題を呼んだ〈Taisuke Endo〉。オーナーパティシエを務めるのは遠藤泰介さん。銀座花椿通りの〈パティスリー カメリア銀座〉でシェフパティシエとして活躍後、さらなる研鑽のため2022年よりフランス・アルザスに渡り、帰国後に自分の名を冠して開いた店だ。
ピスタチオと国産バラを合わせたシグネチャーの「マリーアントワネット」をはじめ、「ミルフィーユ」や「タルトシトロンムラング」など眺めるだけでワクワクするようなプチガトー(生ケーキ)も心惹かれるが、気軽なギフトならヴィエノワズリー(パン)部門の代表作、「クグロフ・アルザシアン」もおすすめだ。
クグロフとはアルザス地方の伝統菓子の一つで、実は遠藤シェフがアルザスのパティスリー修業時代、店のシェフパティシエや近しい人々に振る舞い、信頼関係を築いたという思い出の味。バターをたっぷり使用したブリオッシュ生地にアルザス特産のキルシュ(さくらんぼを原料にした蒸留酒)に漬け込んだレーズンを練り込み、焼き上がりにキルシュのシロップにくぐらせて仕上げている。
日本でクグロフは何となくフェスティブシーズンにフィーチャーされがちだが、アルザスでは日常的なおやつとして日々楽しむもの。「たとえば朝食に食べても、夕暮れ時にアペリティフと一緒に味わうのもいいですよ」と遠藤シェフ。確かに、薄めにスライスしてスパークリングワインなどと合わせるのも素敵なのだ。
カジュアルに一年中活用したい、とっておきの“伝統的おやつ”だ。