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【今日のギフト】けしの実が弾ける大阪銘菓。〈堺名産けし餅本舗 小島屋〉のけし餅

あの人の笑顔が見たい。お世話になっている友達や家族、恋人に贈りたい、ちょっと楽しいプレゼントを毎日紹介。

photo: Shu Yamamoto / text&edit: Yoko Fujimori

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和菓子を愛するあの人へ
大阪・堺に受け継がれる郷土菓子

〈堺名産けし餅本舗 小島屋〉のけし餅

延宝年間(1673年~)に創業し、約350年にわたり堺の伝統銘菓「けし餅」の味を伝える〈小島屋〉。けしの実は南蛮貿易が盛んだった室町時代にインドからもたらされたと言われ、やがて大阪や堺、和歌山周辺で栽培されるように。

そして安土桃山時代、千利休の生誕の地である堺に茶の湯文化が浸透し、地元の名産を使ったこのけし餅も茶菓子の一つとして考案されたのだとか。

十勝産小豆で作る瑞々しく滑らかなこし餡を、ごく薄く柔らかな餅生地で包み、その表面にはけしの実がたっぷりとまぶされている。

〈小島屋〉の登録商標である「けし餅」は、代々受け継がれてきた製法で今も作られており、保存料などは一切不使用。柔らかで歯切れの良い餅皮、香り豊かでするすると溶けていくこし餡、それにけしの実の香ばしさとプチプチとした歯ごたえが花を添え、その三者のバランスに思わず目を細める。

一見シンプルで素朴なルックスでありながら、食べれば丁寧な味わいに驚かされる。ギフトにするなら趣ある木箱がおすすめだ。

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