米菓を愛して止まないあの人へ
もち米から自家栽培する極上えびせん
〈進世堂〉の江戸みやげ
明治初期に築地入船町に創業し、現在は五反田に店を構える〈進世堂〉。6代にわたり作り続けているのが商標登録の「江戸みやげ」。初代から受け継ぐ看板商品で、えびせんに海苔巻きや揚げ餅など9種のあられが入った品のいい吹き寄せだ。
この「江戸みやげ」が世にあまたある“エビせん”と一線を画す理由が、徹底的に素材にこだわり抜いている点。6代目店主・杉江烈さんの「先代が完成させた味をさらに磨きたい」という思いから、味の要というべきもち米から自家栽培する。
新潟県に所有する棚田で育てた希少なもち米「〆張り餅」を軸に、愛知県知多産を中心とした赤エビを一尾ずつ手剥きして使用。そうして仕上げた生地を一流の天ぷら店でも使われる太白ごま油や綿実油でからりと揚げる。保存料や添加物は一切不使用だ。
赤エビの色素で淡く色付いたえびせんは、赤エビ本来の香りがふわりと香り、サクサクと噛むほどにエビの旨味ともち米の甘みがじんわりと広がっていく。揚げ煎でありながら軽やかで、胸やけなど皆無なままついつい手が止まらなくなってしまう。
吹き寄せのあられたちも一つ一つが丁寧な味わいで、風味と食感に花を添える。磨き続ける素材と技術で江戸のあられ文化を今に伝える、舌の肥えた大人にこそ贈りたい粋な一品。