最中を愛するあの人へ
餡はもちろん皮も自家製の仙台銘菓
〈白松がモナカ本舗〉の小型12個詰め合わせ
昭和7(1932)年の創業以来、仙台っ子たちに愛され続ける「白松がモナカ」。ちなみに“が”が入ったこの独特の名称は、創業当初の「白松最中」から、初代の白松恒二氏が“世にあまたある最中の中でも店主の私が丹精込めて作る最中である”という熱い思いを伝えるべく、「君が代」や「おらが村」といった表現にならって所有格の“が”を入れたのだとか。
地元に住まい、以前からこの最中のファンだったという「荒城の月」の作詞で知られる詩人・土井晩翠が命名の相談役となったというのも実に仙台らしいエピソードだ。
命名の由来通り、確かに「白松がモナカ」は世の最中と一線を画す。素材と製造に関するこだわりっぷりが抜きん出ているのである。自家製あんはもちろんのこと、和菓子の世界では最中の種(皮)は専門業者から仕入れるのがほとんどの中、最中種も完全自家製。
原料となる最高品質のもち米「みやこがね」を宮城県加美郡にある自社水田で育てることから始め、それを精米し、蒸し、搗き、焼き上げる。だからこそサクッとした歯切れの良さと香ばしさが格別なのだ。
3種の自家製あんは、北海道の十勝産を中心とした小豆を白ざらめで上品な甘みに炊き上げた大納言(粒あん)や、自社開発した胡麻擂り機で驚くほどきめ細かに擂り上げた胡麻あん、白インゲン豆の一種、大手亡(おおてぼう)豆を使った滑らかな口どけの白いんげん(白あん)と、それぞれに魅力を持つ。
一口噛んだ途端、最中皮の香ばしさが口中にあふれ、滑らかなあんが芳醇な香味とともにスーッと溶けていく。丹念に作られていることが分かる、濁りのない味わいだ。
余談だがもう一つの代表作、「栗ヨーカン」は自社が所有する栗山で栗を栽培し、寒天まで天草から自家製造しているというから恐れ入る。こんな和菓子店、全国見渡してもそうはない。屋号の“が”に込められた、妥協のない姿勢が伝わるちょっとスペシャルな最中だ。