オムレットを愛するあの人へ
フルーツ専門店が誇るロングセラー
〈日本橋 千疋屋総本店〉のバナナオムレット
1834(天保5)年、人形町で誕生した〈日本橋 千疋屋総本店〉。高級フルーツ専門店の先駆けとして知られ、1868(明治元)年にはフルーツパーラーの前身となる「果物食堂」をいち早く開業し、旬のフルーツを使ったデザートを世に広めた歴史を持つ。
「バナナオムレット」は明確な登場年は記録に残っていないものの、〈日本橋 千疋屋総本店〉が誇るロングセラーの一つ。丸形のプレートで一枚ずつ焼き上げる、薄く軽い口どけのスポンジ生地で、ホイップクリームとバナナを包んだシンプルな一品。
バナナのカットからホイップクリームの絞り、生地で包む工程は今も手作業。バナナは濃厚で甘みの強いエクアドル産のものを使用し、柔らかなスポンジとサッパリとした口当たりのホイップクリームがバナナの存在感を際立たせる。素朴な見た目でいて、食べればバナナの甘美な香りと甘み、それを軽やかに包み込むスポンジ生地とクリームの三位一体にうっとりとなる。
世にあまたあるオムレットの中でも、こちらは少し別格。大人も魅了する“上質なおやつ”だ。