【今日のギフト】“夜露”のように儚く、深く。〈萬年堂本店〉の喜のつゆ

あの人の笑顔が見たい。お世話になっている友達や家族、恋人に贈りたい、ちょっと楽しいプレゼントを毎日紹介。

photo: Shu Yamamoto / text & edit: Yoko Fujimori

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和菓子を愛するあの人へ
銀座屈指の老舗が作るユニークな本わらび餅

〈萬年堂本店〉の喜のつゆ

創業は江戸時代初期の1617(元和3)年。歌舞伎役者も贔屓にする銀座の老舗菓子司〈萬年堂本店〉。400余年前に京都の三条で菓子店を開き、明治の遷都とともに東京・八重洲に移転。戦災で店を焼失後、銀座へと店を移し、2022年より銀座7丁目でカフェを併設した店舗を営む。

看板商品は何と言っても300年以上の歴史を持つ小豆の蒸し菓子「御目出糖」だが、それに続く人気となっているのが「喜のつゆ」。13代当主・樋口喜之さんが先代から店を受け継いだ20年ほど前、新作として誕生した一品だ。

「食べやすいわらび餅を」という思いから考案したという、巾着型に個包装された愛らしい姿が特徴。黒糖の蜜を吉野本葛で煉り、淡く固めた吉野羹を、餡を加えて柔らかく煉り上げた本わらび餅で包んでいる。

一口含むと小豆の香りとともに黒糖のコクがじんわり広がり、まぶしたきな粉の香ばしさが甘みを優しく引き立てる。

ほろほろと儚くほどける食感と艶やかにきらめく吉野羹は、しっとりと闇夜を濡らす“夜露”をイメージしているのだとか。そして代々当主の名に「喜」の文字をつけることから、「喜のつゆ」という菓名に。まさに〈萬年堂〉の歴史を紡ぐ代表銘菓なのだ。

一枚一枚、柄違いの折り紙を貼った掛け紙も趣あり。味の分かる大人にも自信を持ってお渡しできる、品のいい銀座のお持たせだ。

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