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【今日のギフト】透ける鹿の子豆にうっとり。〈菓心 おおすが〉の「金亀(こんき)」

あの人の笑顔が見たい。お世話になっている友達や家族、恋人に贈りたい、ちょっと楽しいプレゼントを毎日紹介。

photo: Shu Yamamoto / text & edit: Yoko Fujimori

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和菓子を愛するあの人へ
パッケージも美しい、琥珀菓子の名品

〈菓心 おおすが〉の「金亀(こんき)」

彦根城のお膝元、滋賀県彦根市の中央商店街沿いに立つ「菓心 おおすが 本店」。創業約72年の歴史を刻む老舗の和菓子店だ。

丁寧な味わいの和菓子が信条で、求肥入り最中「三十五万石」と並ぶ店の代表銘菓が、先代が考案したという「金亀(こんき)」。北海道産小豆をふっくらと炊き上げた鹿の子豆を国産寒天で柔らかな線の亀甲型に固め、表面を乾燥させ琥珀糖に仕上げた一品だ。

彦根山にはかつて彦根寺という古刹があり、金の亀の背に乗った一寸八尺の観音様が御本尊だったことから、彦根山を金亀山、彦根城を金亀城と呼んでいたそう。そんな歴史にちなんで作られた「金亀(こんき)」は、琥珀糖の上品な甘みや天面に飾った一片の金箔が金亀城の風雅な佇まいを表現している。

指でつまんでさっくり割ると、琥珀糖によって瑞々しさが保たれた寒天が顔を出し、その透明に澄んだ寒天の奥から粒の揃った鹿の子豆が光輝く。

しゃりしゃりとした琥珀糖の歯ざわりと寒天の滑らかさ、そして香りのよい鹿の子豆の心地よいバランス……!

一つ一つ和紙にくるまれ、長寿と繁栄の象徴である亀甲に花を重ねた吉祥紋「花亀甲」を飾ったパッケージからも、菓子に込めた真摯な思いが伝わってくる。2口、3口で食べ終わる小ぶりなサイズ感もなんとも品がいい。

細やかな心遣いが隅々まで行き届く、大切な人にこそ贈りたい彦根の代表銘菓だ。

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