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【今日のギフト】ほんのり透ける美しさ。〈永楽屋〉の「琥珀」

あの人の笑顔が見たい。お世話になっている友達や家族、恋人に贈りたい、ちょっと楽しいプレゼントを毎日紹介。

photo: Shu Yamamoto / text & edit: Yoko Fujimori

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京菓子を愛するあの人へ
柑橘が豊かに香る琥珀糖の名作

〈永楽屋〉の「琥珀」

1946年、京都は河原町四条に創業した〈永楽屋〉。京佃煮と京菓子の「あまから」を扱う、おもたせとして京都人が贔屓にする店だ。

〈永楽屋〉の「からいもの」部門の代表作が国産の原木小粒椎茸を丹念に炊き上げた「一と口椎茸」ならば、「あまいもの」の看板は何と言っても「琥珀糖」。

その代表的一品が「琥珀 柚子」。保存料など添加物に頼らない店の信条から、材料は柚子・砂糖・寒天・水飴だけ。主役となる柚子は品質の高さで知られる徳島県の木頭柚子を使用。細く切り分けて炊き上げた柚子の皮を一枚ずつ並べて寒天を流し、時間をかけて乾燥させていく。こうして完成した琥珀糖は、柚子の黄色が一筋の三日月のごとくほんのり透けて、何とも奥ゆかしく美しい。

表面はシャリシャリと薄氷のような繊細な食感で、透明に澄んだ琥珀はツルリとほどけ、やがて口の中は品のいい柚子の香りで満たされる……!

もう一つ、季節限定で登場するのが「雫」シリーズ。こちらも愛らしいフォルムが人気のアイテムで、2012年に「せとかの雫」が誕生したのが始まり。〈永楽屋〉の代表がお手土産でいただいた「せとか」の美味しさに感銘を受け、商品開発に至ったとか。チャーミングな雫形の琥珀の中に、せとかの瑞々しい果肉を閉じ込めたもの。シャリッと齧ると、果肉の豊かな甘みと果皮の香りがあふれ出る。「せとかの雫」は春〜初夏(2月下旬〜5月下旬)の販売で、6月〜8月下旬は酸味が爽やかな「レモンの雫」に。

水引をキュッと結んだ包装も品がある。どなたにも安心してお持ちできる、お手みやげの名品だ。

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