運営するのは〈黒鳥社〉を主宰する編集者の若林恵さんだ。
「戦後の日本というのは本当に特殊な文化空間で、どの分野にも突出した才能が山ほど存在した。今よりも分業が進んでいなかったので、音楽家も作家も芸術家もみな様々な活動をしていた。当時、そうしたジャンルを超えた才能の交流のハブとなっていたのがデザイナーだったんです。デザイナーごとに界隈が存在する。だから、出版社や著者ではなく、装丁家ごとに本を辿ることで、見えてくる文脈がある」
土地柄、外国人客も想定して、店内のポップには英語の説明が併記されている。
「例えばアジア諸国からは、行政のレベルでも当時の日本の文化に関心が寄せられていると感じますので、そうした需要も引き出せるといいなと。でももっと単純に、昔の何でもないような文庫本のカバーを眺めて、やっぱりめちゃめちゃカッコいいよねって語りながら酒飲みたい、みたいなノリもあって。音楽もかけたいし、オールナイト営業も面白いかもしれないですね」
