Brush

さて、髪が薄くなってからどうしよう。3人の先達に聞きました

年を重ねるにつれて、どうやら生え際が後ろの方へ。あるいは頭頂部もなんだか寂しげに。薄毛です、かね。これはもう世の男性に訪れがちな、自然の摂理。抗うよりも、スタイルについて考えたい。

Photo: Kazuharu Igarashi / Text: Satoshi Taguchi

いつか、だいたいの男性には、その時が来る。馴染んだヘアスタイルに別れを告げて、新しい世界へ。手塚敦嗣さんは20代の前半のことで、矢口憲一さんは30代前半、そして森岡督行さんは8年前にそれぞれ決意した。

以来、だいたい不変。つまり、清潔でカッコイイ、薄毛の長年の実践者。一家言はもちろんあって。

手塚敦嗣

やっぱり、髪形だけでいえば、薄くなってきたらボウズしかないと思うんだよね。僕たち3人を見れば、わかると思うけど。

矢口憲一

清潔感が大切ですよね。特に、おじさんになってきちゃってると、そこはまず気をつけないといけないところかも。

手塚

ボウズじゃないところで言うと、ジュード・ロウとかね。清潔感もあるし、ハンサムだし。

矢口

ああいうふうに、毛を残しても素敵なのは、ちゃんと整えてるからですね。あとは髪の毛の色も重要かも。コントラストが強くなると、必要以上に目立つから。

森岡督行

ワールドカップでも、外国の選手は特に、薄くてもカッコイイ人はけっこういましたよね

矢口

髪の色だけじゃなくて、骨格もあるんでしょうね。頭の形もキレイだったりするし。

手塚

そういえば、薄くなって脱色する人もけっこういるね。

矢口

コントラストを弱めて、目立ちづらくできるんですよね。

手塚

やったことないんだけど。

矢口

脱色は僕もないですね。薄くなってくると、けっこう肌が出てきちゃうし、なるべく傷つかないようにした方がいいですし。頭皮は意外とデリケートな面もあるから。心もだけど(笑)。

爽やかなスキンヘッドと
ボウズの色合わせ

森岡

私の経験上は、染めたりするよりも、スキンヘッドがいいんじゃないかなって気がしますね。残さず剃ってしまう。それが許される環境であればですけど。

矢口

うん。カッコイイですよね。おじさんのスキンヘッドって。スーツにも似合うし、もっといたらいいのになって思いますもんね。

手塚

営業の人とかにも、いいんじゃないかな。夏場も清潔感があるし。タオルで頭拭いたりしてさ。「よろしくお願いします!」なんて元気よく挨拶したら、すごく好感が持てる。
スキンヘッドって怖い方に取ることもできるけど、爽やかでもあるからね。森岡さんはボウズを経由しなかったよね?

森岡

そうですね。限界だなと思って電気シェーバーでいきなり。近所の床屋さんでボウズにしてもらって、それから自分で剃ったんです。バスケットボールをやっていて。昔の世代なんでマイケル・ジョーダンとかが憧れで。ジョーダンも薄くなったから剃ったらしいし、それなら私もって。

矢口

僕も1回やったことあるんです。若い時に。怖くないですか?カミソリで剃っていくのもそうだし、皮膚が丸出しなんで、上から何か降ってきたら、とか。

森岡

そうですね。傷はつきやすいです。何かにぶつけたりすると。日焼けも気になったり、あせももできやすいかもしれません。しかもそれが目立ちます。

矢口

剃るのは毎日ですか?

森岡

はい。毎日自分で。ブラウンの電気シェーバーを使って、朝の髭剃りのついでに、頭もすべて。

矢口

毎朝だと、けっこう皮膚は傷んだりしません?

森岡

T字カミソリよりは傷まないですね。昔は使ってたんですが、あれはけっこう怖くて。剃り残しもできやすかったり。

手塚

ちょっと残ってるくらいでも、いいんじゃないかな。いつもシャキーンて完璧すぎるとね。自分でやってるから、テヘっていうくらいの方が、ちょうどいいというか。でも、もう一本道でしょ?気に入る、入らないかは別として。

森岡

いや、そのあと1回だけ。

手塚

え、伸ばしたの?

森岡

はい(笑)。少しですけど。どうなるかなと思って。でもイマイチだったんで、また剃りました。髪の毛の残り方が、自分の好みではなかったんです。

手塚

僕もね、片側だけハゲてきてたり、ムラがあったりする。

森岡

私は中央の前側が残って、右半分もけっこうあったり。

手塚

ハッハッハ(笑)。

森岡

笑うところじゃないですよ(笑)。でも手塚さんの今のボウズはキレイですね。

手塚

これはね、いつもと違って矢口さんにやってもらったから。

矢口

色合わせが大事なんですよね。左右で残り方が違ったりするから、濃い方はちょっと短めにしたり。ハゲの人のボウズは、長さを均一にしてもまだらになっちゃったりするんです。
だから長さよりも見た目の色で合わせていった方がよくて。あとはマメにやること。そうしないと、すぐバランス崩れちゃいますから。

手塚

たしかにね。僕も自分では10日にいっぺんくらい、バリカンで刈ってるし。

矢口

そのぶん、清潔感はありますよね。身だしなみを整える機会が多いというか。普通の髪形なら2ヵ月に1度とかの人もいるわけだから。森岡さん、洗う時はどうしてます?

森岡

今は固形石鹸で全身洗いますね。矢口さんは?

矢口

僕は仕事柄、お客さんに使ったりもするので、いろいろ試してますけど。でも自分だけのこと考えたら、石鹸だけで全身いける。だから頭皮を優しく洗ってあげられる石鹸があるといいんですよね。そういうのを作りたいとも思ってるんだけど。

おじさんの加齢のニオイも抑えつつ、頭皮とか肌にも良くて、大人の男性に合う香りがするような。

手塚

たしかに。洗う以外に何かつけたりしないもんね。いいかも。

ブルースを感じたら
似合うメガネを探そう

矢口

あとは髪形も新しい提案ができたらいいなとも思うんですよね。ヘルムート・ラングみたいな。髪形だけじゃなくて、スタイルも含めてカッコイイし。

手塚

たしかにね。でもカッコイイのはロン毛の人が薄くなったからかもしれないよ。薄毛がロン毛にしたわけじゃなくて。矢口さんにはぜひ挑戦してもらいたいけど。ファッションでいえば、メガネはするようになるね。

矢口

そうですね。僕もボウズのタイミングでメガネにしたかも。

森岡

私もですね。

手塚

森岡さんもメガネはあった方がいいしね。ハゲにはメガネ。絶対的に。目が悪くなくても。

森岡

コルビュジエとか、ミシェル・フーコーとか。セットでカッコイイ人、いますからね。

矢口

そうそう。フーコーはカッコイイ。スキンヘッドだし。

手塚

基本的にはやっぱり、髪が長いと薄さを感じちゃうよね。過渡期が一番難しいんだけど、アドバイスするなら、「まだ大丈夫」っていう人ほど気をつけて。

森岡

自分もそうだったから言うんですけど、ガチガチに固めて、頭に盾を作るみたいな感じ。風にもなびかなかったですし(笑)。

矢口

もうね、ブルースだと思うよ。仕方ないところで。こっから先はもうハゲだから、最後にやっておこうっていうのは。でもね、早めのボウズをオススメします。

森岡

ハゲフェチの女子に会ったことありますし。綺麗な人でした。

手塚&矢口

おぉー!