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東西漫才の聖地。浅草となんばを、芸人たちとのエピソードとともに巡礼

東京・浅草と大阪・なんばは東西漫才の聖地。中心となる〈浅草フランス座演芸場東洋館〉や〈なんばグランド花月〉の周辺には、幕間の休憩時間や打ち上げなど、芸人の憩いの場となり胃袋を支える店が軒を連ねる。芸人たちとのエピソードなどとともに、紹介する。

illustration: Yoko Akiyama / text: Taketoshi Ohnishi (East), Mitsuhiko Terashita, Ai Kiyabu (West)

浅草フランス座 演芸場東洋館

今も昔も、芸人たちを支え、
逸話に事欠かぬ老舗が多数

「たけちゃんが売れる前は、よくウチの煮込みを食べに来たんだよ」
「桂子師匠は、今も舞台終わりでふらっと来てはステーキをぺろり」
「ナイツの塙さんは、お金がない時から、ひやしたぬきが好きでね~」

浅草六区界隈には、都内唯一のいろもの寄席として多くの芸人が慕う〈浅草フランス座演芸場東洋館〉、その1階の寄席〈浅草演芸ホール〉、近隣には新人が立つ〈浅草リトルシアター〉など漫才の舞台が点在。笑いの殿堂のお膝元をぶらりと歩けば、芸人御用達の老舗が今なお、町に溶け込み呼吸を続けている。そしてどの店主も、芸人話を振ろうものなら、ここぞとばかり逸話が飛び交うのだ。

秋山洋子 浅草のイラスト

なんばグランド花月

焼き鳥、ラーメン、喫茶……
“おもろおいしい”城下町

関西ばかりでなく、全国6000人のお笑い芸人を擁する吉本興業。その本社と中核劇場〈なんばグランド花月〉と〈よしもと漫才劇場〉がある大阪・難波千日前周辺は、まさによしもとの城下町。

ミナミと呼ばれる心斎橋〜難波一帯の繁華街の中でも最も庶民的な“コテコテ”の大阪感があり、周囲は粉もの中心のB級グルメの密集地。今回よしもと芸人行きつけのお店を教えてくれたのは〈なんばグランド花月〉支配人の新田敦生さん。芸人の行きつけといえば〈千とせ〉の肉吸いが有名だが、若手芸人たちは周辺グルメを新規開拓している様子。歩くだけで、吉本スターたちと同じ空気を吸える。

秋山洋子 大阪のイラスト