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「ダンプさんのすごさを身をもって知った」ゆりやんレトリィバァが語る、『極悪女王』の舞台裏

1980年代の女子プロレス黄金期の裏側を描くドラマ『極悪女王』。その撮影秘話を、ゆりやんレトリィバァが語る。

illustration: Shigeki Okada / photo: Naoto Date / text: Ryoko Iino / styling: Mika Ito / hair&make: Tomoko Okada

髪剃りマッチで勝手に手が震えた時に、ダンプ松本さんの気持ちがわかりました

1980年代に全国民の敵と呼ばれ、一世を風靡したヒールレスラー、ダンプ松本。その波乱のプロレス人生を描いたNetflixのオリジナルドラマ『極悪女王』で、ダンプ松本を演じたのがゆりやんレトリィバァだ。

「オーディションを受けたのが、数年かけて45㎏減量した直後。アメリカ進出の夢がある私には、またとない機会だと思う半面、100㎏近くにまで体重を戻せるのか、覚悟するのに時間がかかったんです。でも、ずっとお世話になっているパーソナルトレーナーの岡部友さんに支えていただき、ダンプさんのような強い体を目指すことができました」

そうして撮影が始まる半年前から、長与千種が率いるマーベラスの道場で週5回、プロレスの練習にも励んだゆりやんさん。ダンプ松本を演じるうえでは、観客を魅了するためのパフォーマンスについても学んだ。

「白石監督が“振り向く時に、ゆっくり目だけで行ってみて”とアドバイスをくださって、ダンプさんの恐ろしい表情の作り方も研究しました」

ダンプ松本役・ゆりやんレトリィバァ

「そして、ダンプさんご本人からも凶器の使い方を教えていただいたのだけど、遠慮しないというのが難しくて。でも、試合シーンの撮影ではエキストラさんもヒートアップして、全力で物を投げてくるんですよ。気づけば“ふざけんな!”って、自然に暴れてた(笑)。そうやって、みんな一体となって気持ちが作られていきました。

千種を演じる(唐田)えりかちゃんとも、すれ違うダンプと千種の感情をリアルに出すために、途中から撮影以外もしゃべらないようにしたんです。すると本当に嫌われているんじゃないかと腹が立って、当時のご本人たちの気持ちを体験できた。あの期間があったからさらに絆を強くできたと思います」

ダンプ松本役 ゆりやんレトリィバァ
レスラー役の主要12名の俳優は、実際にプロレスのアクションも演じた。「撮影を忘れ、みんなその時代にいたようでした」とゆりやんレトリィバァさん。
写真提供:Netflix

そうして迎えたのが、千種とダンプの壮絶な髪剃りマッチのシーン。

「負けて丸刈りにすることになった千種に対し、“ざまあみろ”って言いながら本当にえりかちゃんの髪を剃ったのだけど、手が信じられないほど震えて、涙が止まらなくて。ダンプさん本人は当時のことを“本当に腹が立ったんだよ〜”ってさらっとおっしゃると思うけど、怖かったし、辛かったと思うんです。世間に死ねとか言われても、その辛い気持ちを栄養にして、リングの外でもダンプ松本として生活してきた。そのすごさを身をもって知ることができました。“今、命懸けてる”って、自信を持って言える期間でした」

ゆりやんレトリィバァの沁みるワンシーン

クレーン・ユウとの対戦
「共に極悪同盟としてやってきたクレーン・ユウさんを演じるえびちゃんは、体格が近く思い切りぶつかれる相手。2人で肉弾戦と呼んでいた4話の総当たり戦は、指導の長与さんも熱くなり、実際の試合にはなかった技も追加に。忘れられないです」
Netflixシリーズ『極悪女王』
ヒールレスラーとして1980年代の女子プロレス黄金期を盛り上げた、ダンプ松本のデビューから引退までを全5話で描く。ビューティ・ペアやクラッシュギャルズといった人気レスラーや、彼女たちの育ての親である松永兄弟など、“あの頃の女子プロレス”に命を捧げたキャラクターたちにも焦点を当てた、群像劇でもある。企画は鈴木おさむ、総監督は白石和彌が務めた。

Netflix『極悪女王』の舞台裏が沁みる!