ラジオや歌番組、ファンが作り手になるまで
「デパートに関しては、小さい頃からずっと夢中なんです。基本的に一回好きになったものはずっと変わらないタイプですね」
初めて自らの意思でデパートに行ったのは、なんと小学生低学年の頃。そのときから熱量は変わらず、いまでは全国のデパートは行き尽くしたという。
寺坂さんの語る“好きなもの”は、熱量の高さと、入り込む深さが段違い。その結果、現在の仕事は、そんな“好きなもの”がほとんどを占める。例えば、構成作家として関わっているラジオにしても、歌番組にしても、出合った原体験があり、面白がり続けてきた結果、仕事のオファーが来ることが多いという。
かつては、「ひとり紅白」と銘打って、自分で作ったミニチュアで香盤からナレーションまでかなり本格的に再現していたほど。それゆえに、歌謡曲や歌番組への知識量は膨大で、過去の歌番組の前口上を暗記したり、カット割まで研究している。司会者ごとの前口上の癖など全て頭の中に入っている。
「ずっと憧れていた場所に、今度は自分が作る側の人間として立たないといけない。初めて現場で見たときはその裏側の大変さに驚きました」
一方でデパートに関しては、関わり方を考えることもあるという。
「デパートは仕事にするには向いていないなと思っているんです。もちろん、日本百貨店協会のコラムを書いていたこともありますし、書籍も作りましたけど。前に、百貨店でアルバイトをしたことがあって、憧れの場所で働けたんですけど、僕には外から面白がる方が向いているのかなって、そのとき思いましたね」
しかしながら、外側から面白がり続けることで、現在もいくつか仕込んでいるものがあるとのこと。
いま、夢中なもの
そんな、寺坂さんがいま、夢中になっているものは何なのか。
メインフィールドであるラジオは、大体5、6番組は欠かさずに聴いている。
「中でも好きなのは、福岡・KBCラジオの『PAO〜N』。パーソナリティを務める沢田幸二さんの大ファンなんです。ラジオ界ではレジェンド。沢田さんのすごいところは、月曜から金曜日まで3時間の帯番組を、ずっと変わらないテンションで喋り続けるところ。普通、気分の上下ってあるじゃないですか、でも沢田さんはずっとハイテンション。僕がラジオを担当しているフリーアナウンサーの垣花正さんもそういうタイプなんですけど、本当にプロの仕事だなって感心します」
他にもニッポン放送の「ゴッドアフタヌーン アッコのいいかげんに1000回」、ABCラジオの「上沼恵美子のこころ晴天」、さらには地元、FM宮崎の「Radio Paradise 耳が恋した！」などが毎週のルーティン。
最近はもっぱら自宅が多いが、歩きながら聴くことも多いという。
「深夜に2〜3時間歩きながら、ラジオを聴くのが好きなんです。2時とかに、『あ、オードリーが始まるな』って、そこからずっと歩き続ける。夜中の街をひとりラジオを聴きながら歩く。僕、運転免許持ってないんですけど、深夜ドライブみたいな感じで好きなんです」
一方で、寺坂さんにとって本も大切なもの。
「たくさん読むタイプではないんですが、同じ本を何回も読みますね。なかでも、『ザ・ベストテン』と『芳村真理の夜のヒットスタジオ』は永久保存版です。歌番組黄金期の舞台裏がかなり克明に描かれていて。僕の歌番組に関する知識はだいぶ、この2冊からのものが多いです」
何度も読む歌謡本、ラジオ本、デパート本
「この3冊があれば結構カバーできますね」。好きなエピソードには付箋も。 
左から『百貨店文化誌』『山形屋二百六十七年』『井筒屋物語』。 
1981年10月から2009年3月までTBSラジオで放送された『コサキンDEワァオ!』の書籍。
最後に、最近よく見るというYouTubeを教えてくれた。
「上沼恵美子さんのYouTubeチャンネルは本当に面白いですよ。お好み焼きを作る回なんか最高です。ただお好み焼きを作ってるだけなのに、上沼さんのトークが炸裂していて、今200万回再生いってるんですよね。他には、電車の前面展望のYouTubeチャンネルですね。テレビに映して、電車の運転手の気分になって、酒を飲むのが至福の時間。”前面展望”と検索するとたくさん出てきますよ。あとは、黒柳徹子さんのYouTubeもよく見ます。やっぱり、テレビでは拾いきれない、小ネタが満載なのが面白いところ。黒柳さんのバッグの中身とか、僕はすごい気になります（笑）」
