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大阪〈トラック〉オーナー・唐津裕美の棚。自由な創作意欲をかきたてる場所

ある特定の視点でものを蒐集、選別、編集する。そんなキュレーション的な視点で、自宅や事務所に魅力的な棚を作っている人を紹介します。

photo: Keisuke Fukamizu / text: Masae Wako / edit: Tami Okano

自由な創作意欲を
かきたてる場所

「25年ぶりに自分だけのアトリエができました」

と大阪の人気家具店〈TRUCK〉の唐津裕美さんは言う。仕事もプライベートも境のない多忙な日々を経てようやく持てたその場所は、自社工場の隣の建物にある。コラージュのように並べた白い棚には、イラストの仕事に専念していた若い頃の作品や、押し花を貼った昔のスケッチブック。長い間しまい込んでいたそれらの封をほどき、懐かしく見返しながら棚へ収めるうちにふと気づいた。

「初めて海外を旅した34年前の日記を開いたら、きれいに貼ったスナップ写真や当時お気に入りだったサインペンで描いた文字。キューンとしつつ、“あかん、私このピュアな創作心を忘れてる”って」

メラッとした。もっと手を動かしてもの作りをしたくなった。棚を作ったことで、胸のどこかに溜まっていた情熱が溢れ出た。

「重ねてきた時間を次の表現につなげたい。棚はその足がかりです」

唐津裕美 棚
旅の日記を収めた棚は〈TRUCK〉の「LABORATORY SHELF」。ほかに近所の工場から譲り受けた什器などを大小取り交ぜて使っている。