A24がフックアップした、次なる才能とは
BRUTUS
10代の頃、何が一番怖かったですか?
ダニー・フィリッポウ
人から嫌われることや受け入れてもらえないことですね。その恐怖は、決して消えることはない気がする。
マイケル・フィリッポウ
それこそYouTubeは、全員からは気に入られない媒体ですよね。僕らの声もウザいと嫌われてたし(笑)。
BRUTUS
YouTubeでキャリアを築いたことの強みをどう捉えていますか?
マイケル
子供の頃から遊びで撮っていた映像でも、音楽、衣装、エフェクト、全部自分たちでやっていたので、映像制作においてそれぞれの部門が何をすればいいのかを理解できていたことですかね。
YouTubeも、スタントコーディネーターや特殊効果メイクの方と出会い、一緒に学び、新しいアイデアに挑戦したり、練習したりする場でしたから。
ダニー
最初はVFXをやる予算がなかったので、自分たちでやろうと、VFXの会社を立ち上げる経験もできたしね。
BRUTUS
YouTubeコンテンツと映画製作。圧倒的な違いって何だと思いますか?
マイケル
映画の現場の方が時間がかかるよね。道で撮影するとなっても、黙ってはやれないし、何をするにも事前に許可を取らなきゃいけない。
ダニー
一方で、僕らの作品に命を吹き込むために、撮影監督をはじめ、クリエイティブなフィールドで活躍するアーティストたちと協力できて、充実感はありました。僕らだけでは到達できないところまでレベルアップができたというか。
BRUTUS
映画は、動画よりは予算がありますしね。限られてはいるとはいえ。
ダニー
予算が少ないことはホラーでした(笑)。2日半撮影をして、ロケ地を飛び出して家で寝ずに編集し、また現場に戻るのを繰り返したことも。足りない要素を追撮する余裕はなかったので。
マイケル
撮影中はいつも寝不足だったから、言おうとしてるんだけど言葉が全く出てこなかったこともあった(笑)。
ダニー
覚えてる。プレッシャーとストレスはかなりあって。でも、苦ではなくて、クリエイティブな刺激を浴びて、天国みたい!と楽しみました。
A24からの売り込みに歓喜⁉
BRUTUS
A24から北米配給のオファーをプレゼンされたときは、どんな気分でした?
マイケル
人生で最も非現実的な体験でした。そもそも、サンダンス映画祭に参加できる可能性も0.5%と言われていたんです。だから、大尊敬しているスタジオA24が売り込みしてくれるなんて……。冷静を装ってはいたけれど、内心もうドッキドキで大変でした。
ダニー
まるで家族という共同体に入れてくれたみたいでした。でも、僕らはまだA24のタイトルには値しない気がしてて(笑)。
マイケル
A24の関係者が勢揃いしたパーティに参加したとき、僕らはこの場にふさわしくないと感じてね。
ダニー
みんなが一流で、すごく賢くて、僕らだけが間抜けに思えてしまった。
BRUTUS
今みたいに、オーストラリアのユーモアは、自虐や皮肉をどんどん重ねていく印象があります。独特ですよね。
ダニー
オーストラリア人は、お互いにツッコミ合う文化があると言えると思います。皮肉を言ったりディスったりするのも、愛から来る表現なんです。
マイケル
人から言われた言葉をあまり深刻に受け止めないんだよね。それがオーストラリアらしいユーモアだと思う。
BRUTUS
ちなみに、お2人は日本のホラー映画はお好きですか?
ダニー
もちろん!ジャパニーズホラーは世界最高レベルだと思うし、『リング』や『呪怨』のアイコンは、ジェイソン、チャッキーくらい印象的ですよね。
BRUTUS
続編の製作も決定しているそうですが、構想について聞かせてください。
ダニー
物語が続くのか、新しいキャラクターが登場するのかを模索中なんです。
マイケル
観てくれたみなさんは、どう思います?ぜひ意見を聞きたいですね。