関杏輔(〈フェニーチェクローゼット〉フィッター)
あなたの秋冬の定番のスタイルを教えてください。
年を重ね体のラインが出る服を着なくなり、無地のスエットかウールニットにワイドパンツ、足元は薄い革靴が定番に。
そのスタイルに欠かせない、「あたたかい服」はなんですか?
膝下丈のダウンベンチコートは、昔の〈ミズノ〉のもの。機能性に特化したアイテムだけあって本当にあたたかいんです。メルカリで、数千円で購入しました。これから冬の定番として買いたいと思っているのが吉祥寺〈クリーブランド〉のモックネックニット。
相川龍之介(RANDY デザイナー)
あなたの秋冬の定番のスタイルを教えてください。
とにかく着込み、最後にダボッとした大きなブルゾンを羽織るのが冬の定番。昔から古着が好きで色々な服に挑戦してきましたが、その中で重ね着をするバランスや楽しみ方を見出すようになりました。着こなしのヒントを、道行く人から学ぶこともあります。
そのスタイルに欠かせない、「あたたかい服」はなんですか?
白いクルーネックのスエット。スエットって形、色、グラフィック、年代によってさまざまな特徴があって、素材の厚みも違う。どれも面白いですよね。新しい発見がまだあるなと思います。
着ると心があたたかくなるような、思い入れのある服はありますか?
父からもらった〈ジェリー・コスビー〉のスタジアムジャンパー。専門学校を卒業した20歳の頃、実家に帰った時にアメカジ好きな父の部屋に掛かっていた一着です。一目見て、感覚的にグッとくるものがあり、無理を言って譲ってもらいました。普段は古着のスエットやニットの上からガバッと羽織って、50インチほどの太いスラックスと合わせています。
裏地が中綿のキルティングなので、冬でもへっちゃらなんです。年代物だからこそ出るレザーの味わいや、無数のワッペン、サイズ感がお気に入り。意図的に似たものを作ろうと思っても、超えることはできないと思っています。〈ランディ〉の服を考える際に古着やヴィンテージが着想源になることはありますが、再現しようとは思いませんね。だからこそオリジナルの生地を作る時には、なるべく古着にありそうでない風合いを出そうと、毎回試行錯誤しながら楽しんでいます。
中根吉浩(NOAH ジャパン ディレクター)
あなたの秋冬の定番のスタイルを教えてください。
冬でもトップスはアウターを含め3枚までしか着たくないので、素材のあたたかさにはこだわります。その点から、〈ノア〉のカシミヤ素材のCPOシャツやシェットランドセーターが定番です。個人的にどちらも海を感じることができるアイテム。海軍や漁師といった過酷な環境での着用美が魅力で、今でもお気に入りです。
そのスタイルに欠かせない、「あたたかい服」はなんですか?
〈ノア〉で毎シーズン登場するリサイクルカシミヤを中綿として使用する「Cashball」のパファーアウター。オーバースペックすぎず湿気にも強いので重宝しています。ダウンを使用せずリサイクル素材を用いているというサステイナブルな観点にも注目。
着ると心があたたかくなるような、思い入れのある服はありますか?
60年代ヴィンテージの〈ショット〉ブラウンレザー ワンスター ジャケット。ライダースジャケットは私にとって特別な存在。音楽好きゆえの若かりし頃の特別なアイテムであり、単気筒のカスタムバイクを愛用していた20代のお供、といった過去の思い出が蘇るアイテムです。このレザージャケットは、2017年頃に友人から受け継いだ名作。
これを着るとなぜか、寒い冬の日に、息子とカウンターで並んで食べた荻窪のラーメン屋での光景を思い出します。なんだかロックだったなーっていう(笑)。私にとってライダースは、肩は凝るし、バイクに乗っているとレザーが冷たくなって保温性はなくなるし……。決して「あたたかい服」ではないのですが、思い出が蘇る「あたたかい服」の一つなのです。