マーク・ボウジェ(『l'étiquette』編集長、ジャーナリスト)
あなたの秋冬の定番のスタイルを教えてください。
白とネイビー、夏も冬のこの組み合わせが大好き。冬には古い〈クロンビー〉のネイビーのコートを毎日着ているよ。それに合わせるのは、フレンチワークの白いパンツに〈ジョンロブ〉か〈オールデン〉のローファーがお決まり。インナーは白いTシャツの上からネイビーのウールセーターを。まるで制服のようだね。
シンプルだからこそ、適切な素材、適切なサイズ、適切なデザインのベストな一品を見つけるのに時間をかけているよ。このスタイルを崩すとするなら、理想とするヴィンテージのコルビュジエのファイヤーマンジャケットに出会った時かな。歴史のある実にフランス的な服で、素晴らしいの一言。黒の丸首セーターに黒のコーデュロイパンツを合わせる、フル・ブラックルックで楽しみたいね。
そのスタイルに欠かせない、「あたたかい服」はなんですか?
ヴィンテージのフレンチパンツ、スコットランド〈ルバト〉か〈ジョン スメドレー〉のセーター、〈ハズバンズ〉のスーツ、〈ガマレッリ〉の靴下、〈シャルベ〉の傘などたくさんあるけど、やっぱり〈クロンビー〉のオーバーコートが一番重要。
とてもエレガントで、ショルダーはすっきりとデザインされているけれど、毛布のようにがばっと着ることだってできる。もちろん、あたたかい。高く上がる襟も好み。この一着は、クラシックなミリタリーコートにインスパイアされて、2012年頃にオーダーメイドしたもの。〈クロンビー〉こそ、英国の毛織物のスペシャリストだと思うよ。
鰤岡力也(〈Mobley Works〉代表)
あなたの秋冬の定番のスタイルを教えてください。
セーターとコーデュロイパンツを組み合わせた着こなしが、僕の冬の定番スタイルです。平日の昼間に神保町の老舗喫茶〈さぼうる〉で、のんびりとコーヒーを飲んでいるおじさんに憧れ、彼らのなにげない着こなしを参考にしています。今年に限らず長年着られて、来年以降になっても気恥ずかしいと思わないものを選んで着るようにしています。
そのスタイルに欠かせない、「あたたかい服」はなんですか?
〈The INOUE BROTHERS〉のセーター。生産背景がしっかりしていて信頼できるのが魅力的で。冬に盛岡のセレクトショップ〈LOCALERS〉を訪れた時に衝動買いしました。それと、これから買いたいと考えているのは、軽いダウンジャケット。フランスの老舗ダウンメーカーが手がける〈PYRENEX〉のBARRY3が気になっています。とにかく軽くて、羽毛布団に包まれているような感覚で気負いなく着られるので、冬の新しい定番として購入検討中。
着ると心があたたかくなるような、思い入れのある服はありますか?
思い入れのある一着といえば、〈ウールリッチ〉のコーデュラ キャンバス ハンティングジャケット。これは、2023年代官山の〈ウールリッチ〉の店舗デザインを手がけた際に、自分への「お疲れ様」の意味を込めて購入した思い出の品で、大切に着ています。老舗のアウトドアメーカーらしい過去のアーカイブを参考に作られたクラシックスタンダードなデザインですが、最先端の技術や素材を使用している。そんな〈ウールリッチ〉のもの作りの姿勢に、自分ももの作りをする身として共感できるんですよね。
宮本健太(aïe デザイナー)
あなたの秋冬の定番のスタイルを教えてください。
僕が住んでいるNYの冬は氷点下なので、スタイルのキーワードは“防寒”になります。中でもNY的アウターといえば、やはりウールのチェスターフィールドコートが冬の定番。体全体を保温してくれるロングコートをうまく着こなしている紳士をよく見かけるので、参考にしています。
そのスタイルに欠かせない、「あたたかい服」はなんですか?
コートのインナーに着ることが多いモヘアカーディガン。化繊衣料にはないニットのあたたかな風合いと保温性が好み。15年前から着ている〈ニードルズ〉を筆頭に、冬に欠かせない定番です。
着ると心があたたかくなるような、思い入れのある服はありますか?
〈ラルフ ローレン〉とニューヨーク・ヤンキースが共作したスタジアムジャケット。NYのシンボルでありアイコンでもあるヤンキースのアイテムを着ると、街の一部になれるような気がして、自分には特別な一着です。