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写真家・瀧本幹也に聞く「自分と似た写真を探す」写真の観方

今、写真家たちが様々な場所でワークショップを開いている。撮り方、写真との対話の仕方、編集方法……。その内容は多岐にわたるが、根底に流れるのは彼らが、“教えるモード”になっていること。携帯電話のカメラなどを誰もが1台は持ち歩き、身近な存在となった“写真”。だからこそ、奥深き楽しみ方を改めて知りたい。写真家の瀧本幹也さんに、写真を「観る」楽しみ方を教えてもらいます。

初出:BRUTUS No.699「写真はもっと楽しくなる。」(2010年12月1日発売)

photo: Mikiya Takimoto / text: Sawako Akune

アトリエの壁一面に作りつけられた瀧本幹也の本棚を埋める写真集の数々。自宅にある分を合わせると800冊ほどになるという。

「テイストは様々ですが、よく観るものは大体決まってますね」
そう言って選び出してくれたのが12組の作家による写真集だ。中でもアンドレアス・グルスキーの作品集はほぼ全作揃う。

「写真家として独立した頃に彼の作品に出会い、衝撃を受けたんです。証券取引所や工場など広大な空間を大判で撮っているのですが、全てにピントが合っていて、かつ人もブレていない。理論的にはそれは不可能なはずで、どうやって撮っているのかわからなかった。そういうふうに驚きがある写真にはとても惹かれます」

ジェフ・ウォールの既存絵画のモチーフや構図を真似て撮った作品や、フィリップ・ロルカ・ディコルシアの、ライティングを仕込んだ場所を偶然通りかかった人々を撮る写真、グレゴリー・クリュードソンの映画ばりの大掛かりなセットで撮る作品……。瀧本が好む写真には、いわゆる「セットアップ写真」の作品、作家が多い。

「僕に広告の仕事が多いせいもあるのでしょうが、写真集としてのまとまりより、一枚一枚にじっと見入れる写真の方が好きなんですよね。だからコンセプトの際立った、よりアート的な作品にも好きな写真は多い。一貫して被写体と撮影者との間に距離がある感じは、僕自身がそうだから(笑)。ぐいぐい相手の方へ踏み込んでいく写真よりは、俯瞰的、鳥瞰的写真に影響を受けるみたいです」

Andreas Gursky著『 Andreas Gursky』, Jeff Wall著『. Jeff Wall』『. Figures & Places』, Walter Niedermayr著『Momentary Resorts』Civil Operations』, Uta Barth著『The Long Now』, Thomas Demand著『Thomas Demand』, Ron Mueck著『Ron Mueck』, Duane Hanson著『More Than Reality』
(A)Andreas Gursky, (B)Jeff Wall, (C)Philip-Lorca diCorcia, (D)Philip-Lorca diCorcia, (E)Walter Niedermayr, (F)Uta Barth, (G)Thomas Demand, (H)Ron Mueck, (I)Duane Hanson, (J)Peter Fischli&David Weiss, (K)Thomas Allen, (L)Warter Hartford

(A)Andreas Gursky

(B)Jeff Wall

(C)Philip-Lorca diCorcia

D)Gregory Crewdson

(E)Walter Niedermayr

(F)Uta Barth
(G)Thomas Demand
(H)Ron Mueck
(I)Duane Hanson

(J)Peter Fischli&David Weiss
(K)Thomas Allen
(L)Warter Hartford