東京の大手出版社勤務を経て、藤井佳之さんが故郷、高松に完全予約制の古書店をオープンしたのは8年前。友人宅に招かれたような店内にはアート、カルチャーをはじめ幅広いジャンルの本が並ぶ。
「街の本屋を目指して始めたんですが、東京、大阪などからもお客さんに来ていただいています」。
藤井さんはフリーランスの立場で企業CIの企画や執筆活動を行いながら、来客予約が入るとスケジュールを1日空けて相手を迎える。「ゆっくり見ていってほしいのと、中には、“こういうお店をするのって大変ですか?”と、人生相談を始める人もいるんで(笑)」。
交流を通して相手の好みを頭に入れ、次の来訪までに本を増やしておくのが〈なタ書〉のスタイル。今年は瀬戸内国際芸術祭のお手伝いも。女木島の作品の一環である図書室に瀬戸内関連の本を展示している。
「最近は週5日ほど島にいて圏外が多いですけど、芸術祭に来たら、ぜひ一度、電話してみてください」