石牌無名手工蛋餅の台湾式クレープ(蛋餅・ダンビン)
教えてくれた人:江 振誠(シェフ、フードコンサルタント)
行列に並ぶ価値は大いにあり!台北イチの蛋餅を食べられる店
台湾の朝ご飯の鉄板、蛋餅(ダンビン、台湾式のクレープ)が名物の店。粉から作り、注文が入るごとに鉄板で焼く生地は、外は香ばしく、中はモチモチ!開店直後から行列ができる超人気店だ。「僕が生まれた家から50mほどの店で、幼い頃から毎朝食べてきた思い出の味。熱々の蛋餅を米とピーナッツで作ったスープ・豆米漿(ドウミィジィァン)に浸けて食べるのが昔から大好きで、今も変わりません」。焼きたての大根餅や、炊きたてご飯を店内で握る台湾式おにぎり飯糰(ファントゥアン)もおいしい。
以馬內利鮮魚湯の魚介のスープ(鮮魚湯)
教えてくれた人:林蓉(飲食コンサルタント)
知る人ぞ知る台湾の伝統的な朝ご飯。体に染み入る優しい魚介のスープ
鹹豆漿(シェントウジャン、豆乳スープ)やお粥に加え「台湾人にとって欠かせない朝食」と話すのが魚のスープ。推しは、行列必至の屋台として人気を博し、2021年に店舗を構えたこちら。尾頭付きの魚を使った魚スープに、イカのスープ、豚や鶏のモツのスープまでメニューはいろいろ。まろやかで淡い味つけの豚骨スープがベースで、朝の空っぽの胃に優しく染み渡る。「米粉麵(焼きビーフンと焼きそばのハーフ&ハーフ)と具だくさんの魚スープで朝のパワーチャージは完璧!」
慈聖宮屋台街のホルモンスープ(四神綜合湯)とお粥(肉粥)
教えてくれた人:葉怡蘭(エッセイスト)
複数の屋台のメニューをチョイスして、境内でのんびり食す
「台湾で最もおいしく、伝統的な小吃が集まるのは市場と寺廟の周辺。その代表的な存在が慈聖宮です」。ずらりと並ぶ屋台で葉さんが特におすすめするのが、ホルモンスープ店とお粥店。「右の2品と紅燒肉(ホンシャオロウ、紅麴漬けの豚の唐揚げ)は、ここを訪れたら必ず食べる組み合わせ。境内のテーブル席は各店に属していますが、いくつか注文してほかの店の食べ物も一緒に楽しむことができます。慈聖宮に今も残る、人情味溢れる台湾屋台のスタイルです」
真芳の炭火焼きサンドイッチ(真芳三明治)
教えてくれた人:陳 小曼(フードデザイナー)
作り手の顔が見える食材にこだわる炭火焼きサンドイッチ専門カフェ
炭火でトーストしたパンが人気のサンドイッチカフェ。「店内にあるQRコードを読み取ると、野菜や卵、肉など、その日使われている食材がいつ、どこから発送されたのか、生産元や流通経路を知ることができます。ここまでトレーサビリティを徹底している飲食店は珍しくて、素材選びに真摯に向き合っている点に感銘を受けます」。国産の新鮮食材を使っているため、おいしさは言わずもがな。オリジナルのミルクティーは濃厚で、こちらもおすすめ。
原西園橋下のWパン(焼餅油條)
教えてくれた人:徐天麟(美食家)
シンプルだから味に差が出る!ローカルに愛される焼餅油條
焼餅(シャオビン)という中華パンに、油條(ヨウティアオ、揚げパン)を挟むWパンは、台湾定番の朝ご飯。台北最古の寺院とされる龍山寺近くにあるこの店には、出来たてを買い求める人で朝から行列が。「最近はクーラーの効いたところで調理する店が多いけど、ここは家族で切り盛りしていて、店構えも作り方も昔ながら。外気の入る店頭で作っているから、生地の発酵状態がいいんです。焼餅は外側がさくさくで、中はしっとり軟らかく絶妙な食感」。手際よい働きぶりも絵になる。
張吳記麵餅舖のカニ形パイ(蟹殼黃)
教えてくれた人:徐 仲(食文化研究者)
行列必至!1958年創業の老舗で焼きたてのカニ形パイに舌鼓
親子3代で切り盛りする、アットホームな雰囲気の軽食店。朝ご飯の定番・鹹豆漿から麺やスープ類まで揃う。徐さんのお気に入りは、カニの甲羅の形をしたパイ「蟹殼黃」。「朝、粉物を食べたい時は、ここで蟹殼黃の甘いのとしょっぱいのを1個ずつ。伝統的な窯焼きで作られたパイは、ラードの香りがたまりません」。合わせるのは、ワンタンスープか紅糟雞麵。「自家製紅麹を使った麺は、台湾料理のルーツの一つである福州料理の甘さを味わえますよ」
津津豆漿店の鹹豆漿
教えてくれた人:千千(大食いYouTuber)
毎朝4時から昼前までのみの営業、下町に人を呼ぶ鹹豆漿の有名店
注文カウンターの上、中国語で「遺伝子組み換え大豆ではない」と書かれた幕が、店名以上に目を引く。1杯30元の鹹豆漿でも、きちんと作られた材料で、という姿勢が味に出るからか、中心市街地から離れた立地ながら、早朝から大行列の繁盛店だ。「味つけのしっかりした鹹豆漿に辛味を足して、クリスピーな炸蛋餅(台湾式のクレープ)と一緒に食べるのが定番」。歩道に備えた簡易なテーブルで、スピーディに食事をする人々の姿も、台湾の朝らしい光景。