松江泰治が撮った「風景」と「模型」の写真展を、Perfumeのかしゆかが体験!
かしゆか
かわいい!
松江泰治
かわいいよね。ユーモアがあるでしょ?これはボリビアの街を撮影した4mのパノラマ写真。そして、会場の入口近くにあるのが同じ南米のエクアドル。キトという街の風景写真と、街の模型の写真です。2007年、街を撮影した後で博物館に行ったら、さっきまで見ていた風景そのものの模型があってね。興奮してすぐ撮影交渉して。それから模型撮影を始めたんです。
かしゆか
「マキエタ」を見るのは初めてですが、模型なのに空撮したようでとてもリアル。でも生活感がないところがちょっと面白いですね。
松江
現実世界のミニチュアだから、どんなに精巧でも、作り物のかわいさが感じられるんだ。屋外模型というのもあるんだよ。
かしゆか
屋外模型!雨ざらしですか。
松江
そう、例えばグアテマラの山岳地帯の巨大模型は、1905年に大統領が造らせたもので30m四方もある。つまり権力の誇示なんだけど、100年以上風雨にさらされればそんな支配欲は蒸発して、国宝のように美しい姿だけが大事に大事に保存されているんです。
かしゆか
そうやって見ると、どの模型にも作り手の意思が感じられますね。
松江
模型は作者がいるアートだから。
かしゆか
世界中に街の模型があることに驚くし、風景写真と比べて見ると、建物の色や素材も気になります。金属やコルク……ミュンヘンの模型は板でしょうか。ボロボロだけどなんだか素敵。
松江
16世紀、1570年の模型だね。
かしゆか
そんなに古いんですか⁉
松江
ドイツやポーランドでは昔から作られていて、「マキエタ」という言葉も模型を表すポーランド語なんです。
風景と模型がボーダレスに。
かしゆか
最後は東京!“世界一周”の後で見ると、東京っぽさを強く感じます。これは風景写真ですよね?
松江
いやいや、模型です。
かしゆか
本当だ、ビルが歪んでます。
松江
現実そっくりじゃつまらないし、模型には限界があるんだよ。そこに人間味やユーモアがあると思わない?
かしゆか
はい、風景と模型、どちらも魅力的でした。松江さんの風景作品は、ドラマティックな陰影や奥行きがなくて、すべてが均等に撮られてるところが特徴ですよね。私はその、事実をありのまま伝えている感じが好きなんです。
風景が愛おしく見えるから。今回はマキエタと一緒に見ることで、「時間」の感覚が足されているのがすごく興味深かったです。
松江
模型自体が昔のものだったりもするからね。写真に歴史物語が追加される。ぐいぐい入りこんでいけるし、何度見てもいろんな発見があるんだよ。
かしゆか
数百年前の、今はもう見られない街の風景が「立体」として残されていて、それを松江さんが撮ることで本当の街にも見えてくる。現実と模型がだんだん混同してくる感じも、不思議で心地よくて、ずーっと見ていられますね。