旅人たちの窓辺。写真家・ミズカイケイコが撮る、車の窓

photo: Keiko Mizukai / text: BRUTUS

窓は旅情をかき立てる。移動中のふとした瞬間に出会う美しい景色は窓とともに記憶され、窓から差し込む光が訪れた場所の思い出を特別なものにする。旅人たちが語る、忘れられない旅の窓。

本記事は、BRUTUS「美しい建築と窓。」(2024年10月15日発売)から特別公開中。詳しくはこちら

Share

車の窓

日没間際の伊豆半島で。霧の中に光る赤いテールライトが美しい。

車の旅が好きで、20年近く愛車のボルボ240で車中泊の旅をしています。自分が気に入った場所があったら簡単にそこにもう1泊できるし、朝日が撮りたいと思ったらそこに泊まって前の晩から待っていればいい。交通機関や宿泊場所、時間に影響されない旅はすごく解放感があります。旅の写真を改めて見返すと、窓をたくさん撮っていました。

岩手の牧場に泊まった日の朝、荷室から撮ったフロントガラス。ダッシュボードの上のトマトは、旅先で出会った人からもらったもの。

普段から自分が世界をどのような枠の中で見ているかを考える癖があって。窓は、世界を見るということを象徴する存在ですよね。写真を撮っている時はそこまで考えず、心が動いた瞬間をカメラに収めていくのですが、窓が写っている写真からは、撮影した人の存在や目線を感じやすいのかもしれません。