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〈wapiti〉店主に聞く、店の個性際立つ夏のレコード5枚とその理由

一面のレコード棚から次にかける一枚を嗅ぎ分けて選び出す。その選曲からは店の哲学や店主の人生までもが浮かび上がってくる。〈wapiti〉店主・秋谷直弘さんが選ぶブルータスのための夏のプレイリスト。

text: Kanta Hisajima

wapiti(大阪/堺筋本町)

店主:秋谷直弘

Q1

2021年7月1日最初にかけたい一枚は?

A1

『Other Aspects』Eric Dolphy

毎夜の喧騒の前となる静けさの中、この人のフリージャズに身を委ねるとなんともよい心持ちに。「未完成」感を含む彼とその音が、同じく「未完成」な店内の開店時に鳴り響くと、一日のやる気が出る一枚です。

『Other Aspects』Eric Dolphy
『Other Aspects』Eric Dolphy

Q2

店に絶対になければならないお店を象徴する一枚は?

A2

『Companionship』Sahib Shihab

フリージャズの醍醐味的なダイナミックなアドリブに置いていかれまいと必死に音に追いすがるのが快感。何度聴いても鳥肌もの。天才たちの奏でるこれぞヨーロッパジャズの歴史的名作の中の名作。

『Companionship』Sahib Shihab
『Companionship』Sahib Shihab

Q3

音楽に夢中になるきっかけとなった一枚は?

A3

『Welcome To The Cruel World』Ben Harper

学校をサボっては繰り返し夢中で聴いていた、青春の一枚。スライドギターのゆったりとメロウな残響と、内省的なボ-カルが素晴らしい。今も朝な夕な、お店でよくプレーし、魅せられる一枚です。

『Welcome To The Cruel World』Ben Harper
『Welcome To The Cruel World』Ben Harper

Q4

最近手に入れた一枚は?

A4

『Alive In The East?』Binker and Moses

UK新世代ジャズの金字塔作。モーゼス・ボイドのドラムとビンカー・ゴールディングのサックスは何度聴いても鳥肌ものです。ライブの臨場感がすごく、飲みながら聴くと、気分はもう南ロンドン。

『Alive In The East?』Binker and Moses
『Alive In The East?』Binker and Moses

Q5

夏に飲みたいドリンクと一緒に聴きたい一枚は?

A5

「I'll Come Running Back To You」Nick Kurosawa

ハワイ在住日系ボーカリストによる、アコギと声だけのメロウフォーク。夏の夕暮れ時に、1930年代式サーバーで入れる極上のビールとともに聴くと、「あれここ天国?」なんて思える一枚。

「I'll Come Running Back To You」Nick Kurosawa
「I'll Come Running Back To You」Nick Kurosawa