Listen

〈ジャズ喫茶 いーぐる〉店主に聞く、店の個性際立つ夏のレコード5枚とその理由

一面のレコード棚から次にかける一枚を嗅ぎ分けて選び出す。その選曲からは店の哲学や店主の人生までもが浮かび上がってくる。〈ジャズ喫茶 いーぐる〉店主・後藤雅洋さんが選ぶブルータスのための夏のプレイリスト。

text: Kanta Hisajima

ジャズ喫茶 いーぐる(東京/四谷)

店主:後藤雅洋

Q1

2021年7月1日最初にかけたい一枚は?

A1

『Fontessa』The Modern Jazz Quartet

仕事が始まる時は、熱量のあるジャズより、爽やかなジャズ。ビブラフォンの涼感ある音に、ピアノの高音、ベースのリズム、ドラムのビートが合わさる完璧な四重奏。くどすぎず、午前中から聴きやすい。

『Fontessa』The Modern Jazz Quartet
『Fontessa』The Modern Jazz Quartet

Q2

店に絶対になければならないお店を象徴する一枚は?

A2

『Jackie's Bag』Jackie McLean

リズミカルでコクがある、ジャッキー・マクリーンのサックス。わかりやすい4ビートではないし、ジョン・コルトレーンやビル・エヴァンスと比べたら少々マイナーな彼だけど、ジャズ喫茶ファンに響く一枚です。

『Jackie's Bag』Jackie McLean
『Jackie's Bag』Jackie McLean

Q3

音楽に夢中になるきっかけとなった一枚は?

A3

『The Complete Studio Recordings On Savoy Years Vol.3』Charlie Parker

先の展開が読めない、スリリングな演奏を僕に教えてくれたモダンジャズの開祖。コード進行に基づいて複雑化させた即興演奏は、後にビバップ革命といわれるように。

『The Complete Studio Recordings On Savoy Years Vol .3』Charlie Parker
『The Complete Studio Recordings On Savoy Years Vol.3』Charlie Parker

Q4

最近手に入れた一枚は?

A4

『Music Life』Mia Doi Todd

友人のジャズ評論家、原雅明さんがツイッターでおすすめしていたのがこのアルバム。フォーキーなのにエキゾティックなボーカルが彼女の“らしさ”を表現していて。そんな個性を見る、というのも音楽の醍醐味です。

『Music Life』Mia Doi Todd
『Music Life』Mia Doi Todd

Q5

夏に飲みたいドリンクと一緒に聴きたい一枚は?

A5

『Caipi』Kurt Rosenwinkel

ブラジルの音楽文化・ミナス派と呼ばれたサンバやボサノヴァのエッセンスが入った夏の傑作。哀愁を帯びていると同時に、豊かな自然へのシンパシーを感じさせる旋律には、ミントたっぷりのモヒートが合いそうです。

『Caipi』Kurt Rosenwinkel
『Caipi』Kurt Rosenwinkel