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〈YORK〉店主に聞く、店の個性際立つ夏のレコード5枚とその理由

一面のレコード棚から次にかける一枚を嗅ぎ分けて選び出す。その選曲からは店の哲学や店主の人生までもが浮かび上がってくる。北は札幌、南は長崎まで、全国の23軒の名店主が選ぶブルータスのための夏のプレイリスト。

text: Kanta Hisajima, Wataru Sato, PILOT PUBLISHING

YORK(石川/金沢)

店主:奥井禎子

Q1

2021年7月1日最初にかけたい一枚は?

A1

『Lester Young And The Kansas City 6』Lester Young And The Kansas City Six

今で言う、モダンジャズが生まれつつある、その過渡期に制作された一枚。繊細なテナーサックスの音色が全体の調和を生み出します。戦前の1938年に録音。

『Lester Young And The Kansas City 6Lester Young And The Kansas City Six
『Lester Young And The Kansas City 6』Lester Young And The Kansas City Six

Q2

店に絶対になければならないお店を象徴する一枚は?

A2

『The Man I Love』Thelonious Monk

ジャケットの一部を店の看板に使わせてもらった思い出深い作品。流れるような旋律、というわけじゃないけど、先の展開が読めないドキドキ感。そんな彼の遊び心がレコードを通して伝わってくるようです。

『The Man I Love』Thelonious Monk
『The Man I Love』Thelonious Monk

Q3

音楽に夢中になるきっかけとなった一枚は?

A3

『At The Five Spot, Vol.1』Eric Dolphy

一緒にお店をやっていた主人が亡くなった時に、聴いたドルフィー。ぽっかりと空いた心の隙間が音で満たされて、区切りをつけることができました。お店に残されたレコードがもっと好きになった瞬間。

『At The Five Spot, Vol. 1』Eric Dolphy
『At The Five Spot, Vol.1』Eric Dolphy

Q4

最近手に入れた一枚は?

A4

『The Rain Is A Handsome Animal』Tin Hat

シンセサイザーを駆使した前衛的な表現で、ジャズの可能性を広げ続ける3人組。お店でよく流しているのですが、これまでのジャズの歴史に詳しい人ほど「この曲なに?」と突っ込んでくるんです。

『The Rain Is A Handsome Animal』Tin Hat
『The Rain Is A Handsome Animal』Tin Hat

Q5

夏に飲みたいドリンクと一緒に聴きたい一枚は?

A5

『Among Friends』Art Pepper

暑くなってくると聴きたくなるのは、南米の陽気なリズム。ラテンミュージックとして有名な「Bésame Mucho」を、サックスでジャズアレンジしたダンスナンバー。さっぱりとしたジントニックにベストマッチ。

『Among Friends』Art Pepper
『Among Friends』Art Pepper