学生時代の甘い記憶が宿る
買い直した復刻シューズ。
定価より価格が高騰しているものをわざわざ買うことはほとんどしないです。もちろん、オモチャでもなんでも、持っていたものの価値が上がったりするのは嬉しいですけど。僕が思うヴィンテージは、そのものに自分のどんなエピソードが込められているかが重要。金額的な価値よりも体験ありき。それで言うと、大学生になりたてだった1975年に買った〈コンバース〉のチャックテイラーは思い出深い。
渋谷の麗郷脇の階段道にあったミウラ&サンズで目にしたんです。ハイカットの方が人気だったけどお金がなくてローカットにして、スカイブルーがよかったのに友達に先を越されたから妥協してグリーンを選びました。当時イベント運営の学生サークルに所属していて、葉山の海の家でペンキ塗りの作業をしていたらその靴にペンキが飛んでしまったり、デッキシューズ感覚で使うのが流行っていたから裸足で履いたまま海に入ったり。結局半年もたたずに履きつぶして捨ててしまいました。
実は最近、その頃を懐かしんで同じ色の復刻物を買ったんですよ。ビミョーに色が違っている気がするけど(笑)。これを履くのは同窓会だったり、昔の仲間と会うときだったり、少しだけ特別な日がほとんど。昔を思い出せるから、復刻物でも愛着が湧くんですよね。学生時代の二の舞いにはしたくないけど、ちょっと履き込んだ感のある〈コンバース〉が好きなので、年に二、三度くらいのペースで使うようにしています。仏像を拝むような気持ちで(笑)。
このペースだと20年後も履けてるんじゃないかな。当時を思い出してサーフブランドの〈ゴッデス〉のTシャツに、ベタにリーバイスを穿いて、裸足でこの靴を履く。そんなお爺さんになっていてもいいかな。