意識が変わる瞬間=目覚めというキーワード。
butaji
「Presence」の反響はどうでしたか? 僕はあんまり実感がなくて。
STUTS
発表するまでは不安だったんですが、世に出てからは反応が良く、安心しました。やっぱり松さんが歌うメロディが耳に残ると言ってくださる方が多くて。butajiさんさまさまです(笑)。
butaji
いえ(笑)。光栄です。どうして声をかけてくださったんですか?
STUTS
テレビドラマの楽曲は多くの方の耳に触れるので、口ずさめる歌謡曲的なメロディにしたかったんです。それでbutajiさんを紹介してもらって。
butaji
嬉しいです。びっくりしました。
STUTS
最初にデモのトラックをお渡しして、その3日後くらいに打ち合わせをした時点でデモを3パターン持ってきてくださったじゃないですか。あれがもう素晴らしかった。できてる!と(笑)。ほぼそのまま進みましたよね。
butaji
トラックから喚起されるイメージがあったので考えやすかったんです。歌詞は、脚本を拝見しながらも、STUTSさんからヒントをもらいましたよね。
STUTS
そうですね。僕は脚本を読んで、意識が変わる瞬間=目覚めというキーワードが入ったらいいなと思って。
butaji
それに加えて、脚本から感じた「カラッとした哀愁」を意識しました。大切な人の死を経ても、基本的には軽やかに進むところに強烈な印象を受けて。
STUTS
なるほど。重さと軽さが良いバランスになりましたよね。それと何より印象深かったのは、やっぱり作った曲を松さんに歌ってもらったことですね。
butaji
それは本当に新鮮でした!最初に、これまでの松さんの作品にないものを作りたいとおっしゃってましたよね。
STUTS
そうなんです。どんなふうに落とし込んでくださったんですか?
butaji
どう実現しようかと考えて、高めのキーに挑戦してもらおうと思って。松さんは低めで深みのある声質が魅力ですが、逆に高くしたらどうなるかなと。
STUTS
そういう意図だったんですね!あとはbutajiさんが作った曲のニュアンスをどう松さんに引き継いでもらうかはかなり一緒に考えましたよね。
butaji
はい、歌唱指導というか。
STUTS
僕からは、流れるように歌ってほしい、butajiさんからは息を多めに混ぜて歌ってほしいと伝えて。
butaji
その試行錯誤は良い経験でした。
共作は「想像以上」を生む。
butaji
新作の『RIGHT TIME』でも、ご一緒できて嬉しかったです。
STUTS
こちらこそ、楽しかったです。
butaji
「Presence」を一緒に作っている時のリスペクトと感動があったので、その制作が終わる前から、STUTSさんとまたやりたい、とずっと言ってたんです(笑)。なので、すぐにお誘いして。「YOU NEVER KNOW」はコードとメロディをお渡しするところからでしたね。
STUTS
そうですね、それでビートを組んで、アレンジをして。
butaji
歌詞は、トラックができてようやく書き上がったんです。僕の想定内で書こうとしたら筆が全然進まなくて。それがSTUTSさんから上がってきたものを聴いたらどんどん進むんですよね。印象的でした。
STUTS
良かったです 逆に、歌詞のイメージをトラックに反映させることもありますよ。「I'm here」は歌詞をヒントに輪郭をはっきりさせていきました。
butaji
STUTSさんとお仕事をすると、曲によってお互いの関与の仕方が流動的になるのが面白い。いろんなことができるSTUTSさんはやっぱり稀有だなと。
STUTS
いや、butajiさんこそ。
butaji
色んな才能を持つ方とお仕事をすると、自分の上限の向こう側を見られるんですよね。それが醍醐味だなと。
STUTS
わかります。僕の場合は、自分ができないことをお願いすることが多いので、事前にイメージをお伝えするんです。それでも、出来上がったものが想像以上になるとすごく嬉しい。だいたい想像以上になるんですけどね(笑)。