北海道/えぞ山 わさびの達人
北海道の大地の恵みをご飯で味わう
山ワサビとは、北海道に自生する西洋ワサビ(ホースラディッシュ)のこと。本ワサビと同じ辛味成分を持ち、辛さは約1.5倍といわれる。それをすりおろして醤油を混ぜ、アツアツのご飯と一緒に食べるのが道産子スタイル。その風味や辛さはワサビというより大根に近い印象だ。
《えぞ山 わさびの達人》は、江別市の契約農家で生産した山ワサビをすりおろし、醤油などで調味。「爽やかな辛さと、特有の風味、後味の旨味を逃さないよう工夫を凝らしています」と代表の堂地勉さん。ご飯のお供はもちろん、刺身や冷ややっこなどの薬味としても活躍する一品だ。
岩手県/麹屋のとっとき こうじなんばん
一升漬けをアレンジした老舗麹屋の味
創業80年以上の老舗麹屋が作る麹南蛮。天然醸造、長期熟成など伝統的な手法を守り続けている。「もともと岩手県北部は、夏になると青唐辛子を焼いて醤油に漬けながら食べるなど辛いものを好む土地柄。麹、醤油、青唐辛子を同量ずつ漬け込み発酵させる一升漬けでも知られます」と話すのは3代目の本宮隆一さん。
《麹屋のとっとき こうじなんばん》は、その一升漬けを基に開発した一品。米麹に青唐辛子、味噌、醤油を加えて発酵させている。青唐辛子の鮮烈な辛味の後に広がるのは、麹由来の甘味と旨味。ご飯にのせても、薬味や炒め物の調味料としても重宝する。
長野県/白馬 青こしょう(粗びき)
青唐辛子の風味をダイレクトに訴求
白馬村周辺で、昔から“こしょう”と呼ばれ親しまれてきた青唐辛子。生ではもちろん、“こしょう漬け”や“こしょう味噌”といった加工品にするなど地元に根づいている。《白馬 青こしょう》は、そんな青唐辛子を一年中手軽に味わえるようにと作り出された。
原材料には、無農薬栽培された安曇野(あづみの)産の青唐辛子を使用。夏の早朝に収穫したものを新鮮なうちにフリーズドライ加工し、粉砕している。「こしょうの色や風味を最大限活かすため、フリーズドライにしようと思ったんです」と開発担当者は話す。北アルプス山麓ブランド認定品。細挽きもあり。
愛知県/金時生姜(きんときしょうが)ペースト
料理にもスイーツにも万能なペースト
日本固有の品種である金時生姜は、一般のショウガに比べてかなり小さく、香りと辛味が強いことで知られる。香り成分ガラノラクトン、辛味成分のショウガオール、ジンゲロールを多く含有するためで、冷え性にも効果があるとか。そんな金時生姜を親子3代にわたり栽培してきた〈木村農園〉が手がけるのが《金時生姜ペースト》。
「金時生姜をテンサイ糖で煮込みました。もちろん無添加です」と同農園の田川由佳子さんは話す。口に含んだ瞬間は甘く、その後、爽快な辛味が追いかけてくる。ショウガ焼きなどの調味料として、また炭酸で割ってジンジャーエールなどでも楽しめる。
福井県/麩市(ふいち)の地がらし
福井産の辛子種を使った昔ながらの一品
福井で辛子といえば、これ。170年続く老舗で、大正時代から辛子作りを行っている。原料は、地元で契約栽培された在来種を80%以上使用。国産辛子種の生産がほとんどない現在では、稀少な一品といえる。製造方法も昔ながらにこだわり、辛子種を丸ごと粗挽きする独自製法を採用。辛子粉に黄色と茶色の粒が交じっているのがその証しだ。
一般の和辛子に比べて、香りも辛味も強く、苦味や香ばしさを内包した複雑な風味が後を引く。「熱湯で手早く練り上げ、1時間ほど寝かせて辛味を引き出すのがポイントです」と〈麩市〉の坂本佳代さん。出来上がりを待つ時間もまた楽しい。
京都府/黄金一味
爽快な刺激とキレ味のよさが身上
世にも珍しい(⁉)黄金色した一味である。その原材料は江戸中期、平賀源内が唐辛子の種類について記した『番椒譜(ばんしょうふ)』の中にもある指上(さしあげ)(現代名:黄金)。鷹の爪の10倍の辛味成分を持つ日本一辛い唐辛子(日本食品分析センター調べ)で、〈祇園味幸〉の国内契約農家で生産されている。
「辛味のキレがよく、唐辛子の持ち味だけを主張するので、和洋中どんな料理とも相性がよいのが特徴。スーッとしたキレ味が“男前な一味”として、多くの皆さんにご愛顧いただいています」とは、代表取締役の畑田茂彰さん。赤唐辛子に比べて、食材の色を損ねないことも魅力の一つだろう。
兵庫県/辛皮(からか)
山椒の木の皮を使った珍味で一献
江戸時代から山椒(さんしょう)の産地として知られた有馬。実山椒を使った煮物を有馬煮と呼ぶことも、それに由来する。〈川上商店〉は、1559年の創業以来、有馬山椒の佃煮を作り続けてきた老舗。数ある商品の中でも、異彩を放つのが山椒の木の皮を使った佃煮《辛皮》だ。
樹皮の下にある甘皮を剥(は)ぎ、数日間水にさらしてアクを抜き、細切りにして、醤油、酒、みりんで煮詰める。「山椒好きが秘伝的に作っていた珍味を2007年に商品化しました」と話すのは、社長の川上良さん。耳かき一杯で酒一升は飲めるといわれた、独特の痺(しび)れるような辛さが体験できる。
広島県/レモスコ
瀬戸内産レモンがホットソースに大変身
広島産レモンの果汁と皮、そして《海人(あまびと)の藻塩》、九州産の青唐辛子、酢をブレンドしたホットソース。レモンの酸味と辛味のバランスが絶妙で、和洋中問わず料理のアクセントとして使い勝手がいい。素材の味が反映されやすいシンプルな商品だけに、無添加にこだわると話すのは、開発を担当した串山敬太さん。
「品質を一定に保つため、製造の最終段階では必ず3人の職人が風味を確認しています。素材の味、特に唐辛子の辛味は一定ではないので微調整が必要なんです」。ザ・広島ブランド認定。奥出雲産ハバネロを使用した《レモスコRED》も人気だ。
香川県/香川本鷹唐がらしペースト
幻の唐辛子が復活。滋味深さが魅力です
香川本鷹とは、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際、軍功を立てた塩飽(しわく)水軍が拝領したと伝えられる唐辛子。長さ7〜8cmと大ぶりで、力強い辛味と豊かな香り、旨味を持つことから唐辛子の王様と呼ばれていたこともあるという。一時は絶滅も危惧されたが、近年、地元の手で復活を果たした。そんな唐辛子を100%使用したのが《香川本鷹唐がらしペースト(ピマンルージュ)》。
「香川県綾川町にある自社農場で無農薬栽培した香川本鷹に、酢、塩、砂糖を加えて作った唐辛子ペーストです」と〈山清〉の石田雅之さんは話す。香川本鷹らしい滋味深さが味わえる一品だ。45g入りもあり。
高知県/プリッキーズ(激辛)
高知とタイの特産品が融合しました
タイ原産の唐辛子プリッキーヌーと高知のユズポン酢を融合させた辛味調味料。製紙用資材などを扱う企業の社長が、子会社のあるタイへ通ううちプリッキーヌーにハマり、鶴の一声で作ってしまったという冗談のような本当の話である。味と香りの決め手となるユズはもちろん高知産。土佐はちきん地鶏の鶏ガラを焼いてとっただしが旨味を増幅する。
「プリッキーズの誕生は、2010年。攻撃的な辛さの《激辛》、万能な《ハマる辛》、辛さ控えめな《ほのから》の3兄弟だから複数形にしました!」と話すのはスタッフの地福真理さん。料理に合わせて3兄弟を使い分けよう。
熊本県/柚子胡椒(ゆずこしょう)
手作りにこだわった、おふくろの味
細かく刻んだユズの果皮と唐辛子、塩を合わせて熟成させたユズコショウ。九州を代表する辛味調味料だが、いまや全国区の人気を誇る。青ユズと青唐辛子で作る青と、黄ユズと赤唐辛子で作る赤がある。熊本県南部の湯前町に、1949年設立された〈下村婦人会〉のユズコショウは手作りが身上。地元・球磨産のユズと唐辛子を使って、一つ一つ丁寧に仕込んでいく。
「ユズの皮を薄めに剝(む)くことで、風味よく仕上げています」とは、代表理事の星原陽子さん。雑味のない、清涼感のある辛味が後を引く。和食はもちろん、肉料理やパスタなどに合わせてもいい。料理研究家の辰巳芳子さんも薦める一品。
沖縄県/辺銀食堂の石垣島ラー油(激辛)
あの石ラーにハードな激辛が登場
食べるラー油ブームの立役者《辺銀食堂の石垣島ラー油》。そんなペンギン食堂が2012年、激辛バージョンを発売。「辛口が欲しいという要望が多かったんです。作っている私たち自身も、辛いのがおいしいと思ってたし(笑)」と辺銀愛理さんは話す。
こうして構想3年、試作期間8ヵ月を経て誕生したのが激辛。島唐辛子を増やすだけでは味が単調になるため、タイ産の唐辛子を数種類ブレンドして加えたという。「香りと旨味、コクのバランスを整えました。ワイルド感を出すため粗挽きにして、種も使用しているんですよ」。石ラーの新境地はハードボイルドな辛さだ。数量限定販売。