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香りのある植物の一部です。
スパイスだからといって、すべてがスパイシーとは限らない。そもそも英語のspiceの語源になったのは、ラテン語で「特別な種類」を意味するspecies。古くは香料や薬として珍重され、特権階級しか手にできなかったことからその名がついたとされる。では、何か。実は、国内外問わず、きちんと定められたものはない。
「香りがある植物の一部で、生活の役に立つもの」と定義しているのは、スパイス&ハーブのスペシャリスト集団、エスビー食品。色づけに使われるターメリックやサフランは、スパイシーではないが、スパイスと呼ばれる。つまり、料理に辛味や色をつけたり、臭みを消したりしてくれる、香りのある植物がスパイス。働きでいえば、ハーブもスパイスの一種ともいえるが、これも明確な区別はなく、一般的には、植物の葉、花、茎をハーブ、それ以外の部分根、樹皮、種子などをスパイスと呼ぶことが多い。
その種類は500を優に超えるといわれていて、いずれも擦ったり、つぶしたり、挽いたりすると、香りが強くなる。ドライのものは、煎ると香りの成分が出やすくなるので、煎ってから挽く場合も多く、挽きたての芳香は格別。とはいえ、個性の強いものが多いので、それらを何種類か混ぜ、お互いの個性を弱めながら、一種では出せない複雑な香りを出したのが、ミックススパイス。日本の七味唐辛子やカレーパウダーもその一つだ。
国特有の香りを醸し出す
ミックススパイス
インド
↓
中国
↓
アメリカ
↓
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辛味成分を持っているスパイスのことです。
辛いスパイスは、香りまで辛いと思いがちだが、必ずしもそうではない。辛味をつけるのは、香りではなく、そのスパイスが持っている辛味成分。香りの成分の中にそれが入っているものもあれば、そうではないものもある。ただし、一口に辛味成分といっても、スパイスによって、それぞれ違う。
よく耳にするカプサイシンは、唐辛子が持っているもので、同じ辛いスパイスでも、山椒にはない。山椒が持っているのは、サンショオールという、また別の辛味成分だ。成分が違えば、辛さの特徴も自ずと変わってきて、それは大きく二つのタイプに分けることができる。
一つは鼻の粘膜をツンと刺激するようなシャープな辛味で、瞬時に感じられるが、消えるのも早い。もう一つは、口の中がカーッと熱くなるようなホットな辛味。これはシャープ系に比べて辛さがくるまで少し時間がかかるが、なかなか消えない。前者の代表格がワサビやマスタードであり、後者が唐辛子やコショウ、山椒、ショウガなど。カレーはどれだけ辛くても平気なのに、刺身のワサビが苦手だという人がいるのは、このためだ。
また、この二つのタイプは、特性も異なっていて、ホット系は比較的熱に強く、シャープ系は弱い。熱を加えると辛味が飛んでしまうワサビは、刺身の薬味に。火鍋に唐辛子や山椒が入っているのにも、ちゃんと理由があったのだ。
主な辛味スパイス
HOT系
熱に強い、辛味の感じ方が遅くて長く続く
SHARP系
熱に弱い、すぐに感じるが早く消える