未来へと、歌のメッセージを受け継いで、伝えていく使命を感じます
私にとってサザンは“両親との絆”をイメージする存在ですね。幼い頃はタイトルこそ覚えていなかったものの、いつも家族で出かける車の中ではサザンがかかっていて。物心ついて聴き直して、馴染みのある曲もたくさんありました。名前の詩織も「栞(しおり)のテーマ」からもらったと大人になって聞いて、2023年に番組で桑田さんにお会いした機会にお伝えしたんです。その時「俺が名づけ親のようなもんだな」と言ってくださったのは、嬉しかったですね。
ニューアルバムは、これまでのサザンの歴史があるからこその“過去・現在・未来”ということを意識させる作品だなと感じました。歌詞には、過去を振り返ったり、今の世界情勢や日本の状況に着目したり、それをさらに未来へと歌いつないでいくという意志が感じ取れる箇所もあって。
「神様からの贈り物」では、「憧れのスター 大好きな歌」と、音楽を始めるきっかけになった時代を歌い、名作を後世へ残していきたいというメッセージを込めているのかなと私は受け取りました。「桜、ひらり」でも、桜が散っていく切なさを過去の悲しみに重ねて寄り添いながら、「今も君は生きてる」と、次の年に咲く桜を楽しみに待つような希望を伝えている。私の年代で聴くからこそ、例えば、戦争や震災などの歴史を、まだ経験したことのない人たちに伝えていく使命を託されたような気持ちになりました。
また、「ジャンヌ・ダルクによろしく」の「二度や三度のミスなど怖くない」というフレーズには、すごく勇気をもらっています。一度や二度のミスという言葉はあるけれど、一度のミスくらい誰にでも起こり得るし、当たり前なんだなと。
世の中の風潮として、みんな失敗しないように生きているけれど、失敗から学ぶこともたくさんあると、恐れずに向き合うことの大切さを教えてくれている。私も挑戦するか迷ってやめてしまうくらいなら、間違って失敗しても大丈夫だからチャレンジしようって。スポーツ番組のテーマ曲でもあって、本番に向けて背中を叩いて鼓舞してくれる歌詞がたくさん入っているので、ギアを入れないといけない時に聴きたい曲です。
今回、サザンの聖地であるビクタースタジオで、歌詞を見ながらじっくりとアルバムを聴くことができて楽しかったです!サザンの曲は、新しいと思って聴いたものが20年前の作品だったり、最近の曲がすごく懐かしく感じることがあったりする。それが、時代を超え、世代を超えて愛されるポイントなのかなと思います。歌を仕事にする一人として親が子供にも聴かせたくなる、そして一緒に聴けるようなサザンのエンターテインメント性に学ぶところが大きいです。
これだけ長く活動していて、ファンの方が共に年を重ねて、ずっとついてきてくれる頼もしさも見習いたい。私たちも、サザンオールスターズのように長く愛されるグループになれるように頑張りたいです。

Hit Me Lyrics
今を生きなきゃ勿体ない 二度や三度のミスなど怖くない
「ジャンヌ・ダルクによろしく」より