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歌詞の名フレーズ味わう、よむサザン。【1978〜1980年】

2025年3月19日にリリースされたサザン10年ぶりの新作『THANK YOU SO MUCH』を「読み物のようにしたかった」と桑田は語る。ならば、サザンのこれまでの楽曲をいま一度「歌詞」に注目して味わいたい。恋する気持ちを思い出す10フレーズをピックアップしてみました。

text: Shino Okamura

胸さわぎの腰つき・・・

「勝手にシンドバッド」/1978年

恋する気持ちを腰つきで伝える斬新な愛情表現。それってどんな感じ?という人はシングル盤のジャケの桑田を見よう。

いの一番に 飛んでいきましょ

「当って砕けろ」/1978年

「いの一番」の「い」は「イロハのイ」。恋の基本(イロハ)だけでなく段階(ABC)の大切さも教えてくれる。

寝てもさめても Memory 雨が降ってるのに 空は晴れている

「別れ話は最後に」/1978年

思い出だけが去来する別れの瞬間をリアルに表現した一節。複雑な心境を「雨/晴れ」に譬(たと)える続くフレーズも絶妙。

小粋な言葉はいらないけれど

「恋はお熱く」/1978年

ひと夏の思い出に浸っていたい気持ちは言葉になんて代えられない。ただただまぶたの記憶だけが心を満たしてくれる。

Oh! Baby 今夜は雨はないだろう

「茅ヶ崎に背を向けて」/1978年

故郷を離れて先に進む決意を、恋人に見立てた茅ヶ崎に誓う。中盤の原坊のボーカルは擬人化した茅ヶ崎の声のよう。

心残りは 私しゃピアニッシモ

「瞳の中にレインボウ」/1978年

瞳で語る恋を綴ったこの曲を象徴する「ピアニッシモ」という一言。もっと積極的になれたら……という願いの表れかも。

女 呼んで もんで 抱いて いい気持ち

「女呼んでブギ」/1978年

歌い出しの衝撃たるや。サザン流、最上級の女性讃歌。

楽しやレゲエは 女よりいいや

「レゲエに首ったけ」/1978年

それでも女よりこっちの方が好きと告白するレゲエ讃歌。

テレビは1 Channelに決まってるけど

「いとしのフィート」/1978年

一人でテレビを観て過ごす寂しい大晦日。でもリトル・フィートさながらの人間くさい曲調が歌詞に温かさとユーモアをもたらす。

あなた悲しや天ぷら屋 だけども 素肌負けないで Baby

「今宵あなたに」/1978年

原坊の実家=天ぷら屋をダジャレで見事に仕留める粋。そして当時のCMのキャッチコピーへと続く素晴らしきナンセンス。

はっと見りゃかわいいね イナセにきめて

「気分しだいで責めないで」/1978年

江戸情緒たっぷりの「イナセ」はサザンにおける最高の褒め言葉。「いなせなロコモーション」の伏線かも。

笑ってもっとbaby むじゃきにon my mind

「いとしのエリー」/1979年

目をみりゃつれなくて言葉にもつまっているのに最後は絶叫。甘い言葉より見つめ合いより絶叫こそがすべて。

そうよアンタも人見ごろ

「アブダ・カ・ダブラ(TYPE.3)」/1979年

「一晩ごとに満開に近づく花」を意味する表現「ひとよひとよにひとみごろ」を巧みに使って恋心を表現。

Oh!Mr.D.J. 今宵5時まで離しませんわ

「お願い D.J.」/1979年

音楽やトークで楽しませてくれる深夜ラジオのDJに思いを寄せて。

ひとりのものになるなんてつらいじゃない

「奥歯を食いしばれ」/1979年

どこか一夜限りの関係の苦悩を連想させる苦い歌詞。独り者はつらいけど、誰かに本気で恋したらなおつらい……そんなジレンマ。

彼氏になりたきゃどういうの

「ラチエン通りのシスター」/1979年

茅ヶ崎市に実在するラチエン通り。相手に気持ちを伝えられないモジモジした思いにキュンとなる。

いやだいやだ だめよだめ そげなこと

「思い過ごしも恋のうち」/1979年

恋の教訓満載の一曲。「そんなこと」ではなく「そげなこと」とする語感も最高。

いつも 胸が波打つあなた

「アブダ・カ・ダブラ(TYPE.2)」/1979年

動悸が激しくなる。もちろんそのくらい相手が自分に夢中になっているということ。

なまじ東京の女じゃ 金は重むし

「Let It Boogie」/1979年

東京の女性は金がかかる、というボヤキがチラリ。それでも相手に振り回されることを喜んでいるような歌。

まるで おとこ どうしも良かれと

「ブルースへようこそ」/1979年

ブルースは男の世界、とでも言うようなブラザーフッド。隠語、伏せ語が多数。

たまにゃ Makin' love そうでなきゃ Hand job

「C調言葉に御用心」/1979年

恋によって現実と夢の境目がなくなっていくような歌。相手を泣かせたことを詫びつつもHand Job。

またよしめよとくいこんで

「I AM A PANTY(Yes, I am)」/1979年

女性の下着の目線から書く、男性に向けたエールのような歌。

口説かれたいなら そういいな

「涙のアベニュー」/1980年

舞台は横浜の港。チークダンスを踊るように肩を寄せ合う2人の恋を描く。

あいすいません ひと頃よりお目にかかれません

「Hey!Ryudo!(ヘイ!リュード!)」/1980年

「ヘイ・ジュード」をもじって、あの “Ryudo” への思いを歌う。

こりゃ ユウコの monthly day

「恋するマンスリー・デイ」/1980年

女性に訪れる月に1度の日がテーマ。これもまたサザンの女性讃歌なのだ。

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