劇場で映画を観る醍醐味は、迫力ある大きな音で作品を楽しめること。それは配信ではなかなか味わえない。
公開終了後に音楽が魅力的な映画に出会って「これは映画館で観たかった……」と後悔しないために。世界中のサントラを知り尽くすDJユニット・Soundtrack Brothersの渡辺克己さんが、現在劇場で公開中の新作映画からサントラがすぐれた映画を厳選します。
『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』
10月3日(金) UHD・Blu-ray・DVD発売
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上半期の話題をさらった香港映画史上歴代No.1ヒットのアクション映画。1月の日本公開から現在もロングラン上映中で、何度も足を運ぶ映画ファンも少なくない。細部まで作り込まれた九龍城砦のセットも魅力だが、音楽も要注目。
「荻野目洋子『ダンシング・ヒーロー』や吉川晃司『モニカ』の広東語によるカバーが、アゲアゲの格闘シーンを盛り立てます」
『F1/エフワン』
ブラッド・ピット主演、『トップガン マーヴェリック』等で知られるジョセフ・コシンスキー監督のタッグで大ヒット中の超高速“体感”エンターテイメント。レースシーンの迫力はもちろん、サウンドトラックにBLACKPINKのロゼ、エド・シーラン、バーナ・ボーイらが書き下ろしの楽曲を提供しているのが豪華だ。
「今をときめくポップチューンが満載。緊迫感溢れる劇中のレースシーンには、ハンス・ジマーによるシャープなスコアが使われています」
『キムズビデオ』
かつてニューヨークにあった伝説のレンタルビデオショップ「キムズビデオ」。閉店した後の5万5000本に及ぶレアなビデオコレクションの行方を、監督が体当たりで追いかけたドキュメンタリー作品。
「キムズビデオには一般公開作はもちろん、実験作やアートフィルムまでが完備され、劇中でもその作品の一部がサンプリングのように登場、もちろん、オリジナルスコアもそのままかかります。権利の問題でサントラ盤化は不可能かと思われるので、なおさら劇場で聴いて欲しい内容です」
『ストレンジ・ダーリン』
この夏に公開された作品で、一部のマニアから絶賛され、リピーターが続出中のサスペンススリラー。
「シンガーソングライターのZ Bergによる、アコースティックギターを中心にしたサウンドトラックは、スイートかつ浮遊感のあるメロディの全11曲。そんな美しい楽曲と、ショッキングな物語のマッチングが素晴らしい」
『サブスタンス』
かわいいが暴走気味な宣伝ビジュアルとは裏腹に、コラリー・ファルジャ監督の目論見が見事に的中し、賛否両論を巻き起こしたダークなSFホラー。
「キャッチーなエクササイズシーンから、劇中で鳴り響くサイレン、そしてエンディングの漆黒なミニマルビートを仕立てた劇伴担当のラファティ。UKの名門レーベル〈NINJA TUNE〉から、オリジナリティ溢れる作品を発表しています。そんな曲者を起用するあたりも、ファルジャ監督の悪意と無邪気さが感じられます」
見逃していた人も、一度観たけど音楽に気を配っていなかったという人も、ぜひ映画館へ!