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アートは暮らしの栄養分。〈MADISONBLUE〉デザイナー・中山まりこの小さなアートとの暮らし方

部屋に飾られるアートには、その人の個性が色濃く映し出されている。〈MADISONBLUE〉デザイナー・中山まりこさんはどのようにアートを選び、暮らしているのだろうか。

初出:BRUTUS No.1010「小さなアートと暮らしたい。」(2024年6月17日発売)

photo: Taro Hirano / text: Tamio Ogasawara

アートは暮らしの栄養分。部屋が許せば大きな絵も

2021年に自宅の転居とともに手に入れたというアレックス・カッツとジュリアン・オピー。作品は一目瞭然大きなアート。でも、中山まりこさんの気持ちいいほど広い部屋の中では、そこにハマるべくしてハマっている。

「80〜90年代は私にとってはアートが身近にあった時代です。ニューヨークで暮らしながらスタイリストなどの仕事をしていたときも、その原動力はバスキアやキース・ヘリングたちのポップアートを肌で感じることでした。ファッションとの親和性のあるカッツもその頃から好きでしたね。

ただ、30年以上も視界に入れど無視し続けていたアートへの欲求が、子育ての一段落と、服作りを始めるフレッシュな50代を迎えたときにムズムズと爆発した結果、展示に足を運ぶほどに欲しくなり、気づけばアートに囲まれた生活になっていました。

カッツはエディション付きのプリントでダイニングに、オピーはサイズがちょうど玄関にぴったりで、共に新居の顔となりました。家の核となる場所に据えることで、日々エネルギーをもらい頑張れている自分がいます。でも、究極はこれまで集めたアートをすべて手放してでも、すごく小さなものでいいのでいつかジャコメッティの彫刻と暮らせたらいいなって(笑)」

アートはパワー。作り手のパワーを感じながら暮らせるって幸せだ。中山さんのドリームハウスには、そのうちまさかのジャコメッティがやってくるのかも!

Alex Katz

Julian Opie