審美眼を保つため、アートを飾り替える
ペインティング、写真、彫刻、セラミック。大中小さまざまなモノが部屋の中に溢れ、リビングには収まり切らない額装済みの作品があちこちに並べられている。80年代からストリート、サブカルチャー、ファインアートなどさまざまなフィールドを自由に横断し、時代を写真に収めてきた写真家アリ・マルコポロスの自宅は、模様替えの真っ最中だ。
「最近、家の壁を塗り直したこともあって、パートナーと共にマイペースに作品を飾り替えしているところでね。好きな作品を日常的に眺められるのは喜びであることに違いないのだが、しばらくすると新鮮に見えなくなり、目を向けなくなることがある。
だから、時々飾るものの入れ替えをしたり、配置を変えたりしているんだ。自分の作品とトレードしたり、プレゼントされたりするものも多いけれど、今日紹介するのは自分で欲しくて購入したからか、よく飾っている。うちの定番だね。
私にとってアートは本来、アートとして売ることを目的とせずに作られるべきものだと思う。だから散歩中にふらっと立ち寄ったアンティークショップで巡り合ったこの作者不明のアンティークのスカルプチャーも、ギャラリーに飾られる作品も平等にれっきとしたアートとして付き合っている」

40年間、セレブリティから街行く通行人まで分け隔てなくファインダーを向け続けてきた写真家の視線は、アートに対してもフラットに向けられ、時に飾り替えることで、その新鮮な審美眼を保ち続けているようだった。
John Ahearn


©John Ahearn
June Leaf


©Courtesy of Ortuzar Projects, New York. photo/Dario Lasagni