スキンケアや美容などといわれると、男性にはちょっと遠いイメージを持たれるかもしれません。百貨店のコスメ売り場も入りにくいし(笑)。でも、そんなに難しく考えなくてもいいと思うんです。基本となるのは、肌を清潔にして、潤してあげること。つまり洗顔と保湿。この2つを、日常的に正しく行うことが大切ですから。
洗顔は泡2回と素洗いで
潤いをコントロールする
洗顔で気をつけたいのは、皮脂や油分をとりすぎないこと。男性だと石鹸を愛用されている方も多いと思いますが、脱脂力が強すぎたりもするので。マイルドな洗浄力の、泡で出てくる洗顔フォームがお薦めです。泡立てる必要もなく、時間の短縮にもなるし。
一日で男性なら2回。寝ている間も汗をかいたり、余分な皮脂が分泌されたりもするので、朝に洗い流す。そして家に帰ったら夜にもう一度。特に暑い時期には、日中に水やぬるま湯だけで洗い流すのもいいですね。
洗顔フォームまで使うと、必要な潤いを取り去ってしまいかねません。そうですね、喫茶店とかのおしぼりを使うのもいいけど(笑)、ゴシゴシするのは肌を傷めてしまうので、優しく押さえるようにしたいです。
洗いすぎに注意するのは、より過剰に皮脂や油分が分泌されてしまうから。過剰な皮脂は肌の酸化を促して、老化の原因になります。まったく落とさなくても同じですよ。男性特有なものとしては、臭いの原因にもなります。
時々、臭いとフェロモンを勘違いされてる方もいるんですが、ぜんぜん違いますよ(笑)。
これは声を大にして言いたい。女性にとっては、すごく気になります。
四の五の言わずに
男は黙ってゲルで保湿を
たしかに、男女で肌質は違いますね。女性は乾燥に悩みがちで、男性の方がテカテカしやすかったり。それは表面に油分が多いせいなんですが、だからといって、肌の内側までちゃんと潤ってるわけではなくて。乾燥は肌荒れやシワなど、トラブルの原因になるので、男性も保湿が重要です。
保湿というと化粧水を使われたりするかもしれませんが、あれはどちらかというと肌表面を整えていくもの。肌の中までしっかり保湿するなら、肌から浸透して潤すための成分が入っている、ゲルタイプのものがお薦めです。「オールインワン」などと呼ばれたりするくらいですから、1本で済まそうと思うなら、日常的にはこれで大丈夫。あとは肌の状態に応じて、ほかの化粧品を試してみてもいいかもしれません。
例えば、髭剃り後は肌にダメージがあるはずなので、乳液も使ってみるとか、荒れそうなほど乾燥してたら美容液にしてみるとか。日焼けをしたらビタミンCをとって、専用のケアをしたり。
大事なのは、肌の状態を知ることです。鏡でチェック、していますか?髪形や髭だけじゃなくて、肌の状態もそうだし、耳垢やフケはないかとか。男性だし、時間をかけて鏡の前に立つ必要はないですが、第三者として見て、気になるところを意識する。そうすれば、自然と健康な肌や清潔感って生まれてくると思うんです。
1本で肌を幅広くケアできるもの
「軟らかいゼリーのようなテクスチャーで、すーっと肌に馴染みやすく、化粧水や美容液、乳液などの効果を1本で期待できます。オールインワンと呼ばれるタイプは、無精な男性にもお薦めですね」。
〈無印良品〉の《クリアケアオールインワンジェル》は天然水と4種のフルーツエキスを配合。柑橘系の香りで男性でも使いやすく、値段もお手頃。〈オサジ〉の《フェイシャルゲル》も保湿力はたっぷり。さらにプルランを配合していて、肌表面に保護膜を。
〈オルビス〉の《アクアフォース》は、肌の下0.02㎜にある角質細胞のレベルで、潤いをキープできるのが特徴。2000年に登場して以来のロングセラーで、通販サービスが充実したメーカーなのも、男性には嬉しいかも。フランスのブランド、〈ヨンカ フォー メン〉の《アージュ ディフェンス》は、メンズに特化したアイテム。保湿の効果は抜群。「肌の乾燥トラブルを、短期間にメンテナンスすることができます」と草場さんも太鼓判。
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体全体をケアするもの
安全で日常に寄り添った化粧品を手がける〈オサジ〉とともに、草場さん自身が開発したボディゲル《Kokyu》。お風呂上がりなどに、たっぷり全身に馴染ませれば、ゲルなのでベタつくことなく、しっとり潤う。さらに、とても素敵な香りが。「セージをベースに、ティーツリーとローズマリー、レモンにオレンジのアロマを配合しています。爽やかで瑞々しく、ホッとリラックスできる感じ。男女を問わず、デイリーに家族みんなで使えると思います」
肌に栄養を与えるもの
「保湿だけでなく、美容効果もある高機能な化粧水です。乾燥する冬やかみそり負けしそうな時などに、肌の状態を回復してくれるものとして、使うとよいのでは」。〈オルタナ〉の《スキンメディテーション》は、高保湿かつ高機能。肌が本来持つバリアと回復の力をサポート。〈ウェリナ オーガニクス〉の《クリアヴェリーモイスト》はミネラル豊富な海洋深層水に、天然植物由来のエキスやエッセンシャルオイルが。ハリのある肌に。
肌の潤いを守るもの
「ゲルや化粧水に比べると、特に夏場はドロドロになったりして使いづらいかも。けど冬や乾燥してしまった肌には、化粧水をつけてから、乳液でフタをした方がいいですね」。〈ボッチャン〉の《フラワーモイスチャライザー》はジェルクリームタイプの乳液だから、ベタつきにくく、テカリの防止や毛穴の引き締め効果を期待できる。〈オルタナ〉の《デイパーフェクション》は紫外線や冷暖房など、環境ストレスから肌を保護する機能も。
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日焼け予防とその後のケア
「小麦色の肌は健康的ですが、肌の老化の原因は紫外線が8割ともいわれています。肌のことを考えたら、日焼け止めとその後のケアは大切だと思います」。〈オルビス〉の《サンスクリーン スーパー》は塗っても白くならないジェルタイプの日焼け止め。さらに汗や水に強く無香料というのもグッド。〈コレス〉の《ギリシャヨーグルトクーリングアフターサン フェイス&ボディ》はヨーグルトベースのクリームで、焼けた肌の熱を冷やしてくれる。
頭皮をケアするもの
「本人は意外と気づかなかったりしますが、けっこう気になるのが頭皮の臭い。特に男性は髪が短く臭いが出やすいので、より念入りにケアした方がいいです」。〈ユメドリーミン エピキュリアン〉は日本発のヘアケアブランド。その《ヘアクレンジング クレイ》は頭皮や毛穴にたまった汚れや毒素を、シリカとクレイ(泥)でしっかり洗い流せる。「使えば効果がわかります。シャンプー前に週2回。これを法律にしたいくらいです(笑)」。実践あるのみ!
汗の臭いをケアするもの
「いい香りがする男性は素敵ですが、つけすぎは逆効果。化粧品は匂いのあるものも多いので、フレグランスを使う時は、香りのトーンを揃えたりするといいかもしれません。例えば柑橘系なら嫌いな人も少ないので、汗の臭いを抑えるのに使っても」。〈ヴェレダ〉の《シトラス ボディミスト》は、レモン果皮のエッセンシャルオイルを配合した、フレッシュな柑橘系のミストコロン。価格もお手頃で、体にだけでなく、ルームスプレーとして使ったりしても。
男のスキンケアは
言葉を知るところから
【クレンジング】
皮脂・毛穴汚れなど油性の汚れを落とすことが目的の洗顔料。水性の汚れを落とすフェイスウォッシュと区別されることもある。
【スクラブ】
小さな粒子が含まれた洗顔料。皮脂や肌表面に蓄積した古い角質、ごわつきを取り除く。ゴマージュと呼ぶこともある。
【ピーリング】
「Peeling(皮をはがす)」という言葉通り、酸性の薬剤で肌を溶かし古い角質を取り除くこと。毎日使えるものも。
【ローション】
保湿化粧水。角質を水分で潤して、肌をなめらかに柔らかくする。トナー、トニックと呼ぶことも。
【トナー/トーニングローション】
肌を引き締め、過剰な皮脂や毛穴の開きをケアする収斂化粧水のこと。稀に保湿化粧水の場合もあるので用法を確認しよう。
【クリーム】
肌に潤いを与え、皮脂膜を作って保護して肌荒れを防ぐ。
【エマルジョン】
乳液。油分を水に乳化させたものでクリームと保湿化粧水の中間の軽さ。
【バーム】
ワセリンや蜜蝋などをベースに半固形化したもの。油分が多くクリームより重めで、少量で肌を守る膜を作ることができる。
【セラム】
美容液のこと。目的別に有効成分を高濃度で含み、肌の機能を高める。
【エッセンス】
セラム同様に美容液を指す。
【アイクリーム】
目尻のシワや徹夜明けのクマなどをケアする目元専用のクリーム。
【マスク】
肌の集中ケアアイテム。保湿メインのシートタイプや、角質や毛穴ケアをするクリームタイプなどがある。パックも同義。
【モイスチャライザー】
肌を潤すもの。製品は様々な形状で保湿アイテム全般を指す。
【ハイドレーター】
モイスチャライザーと同じく保湿アイテム全般を指すが、こちらは肌に潤いを浸透させるというニュアンス。
【SPF】
日焼けやシミなどの原因となるUV−B(紫外線B波)を防ぐ数値。日本では最高50+までで、数値が高いほど防御率も高まる。
【PA】
肌奥の真皮まで届きシワやたるみなど光老化の原因・UV−A(紫外線A波)を防ぐ数値。4段階で+が多いほど高い効果。
【ブライトニング】
美白(ホワイトニング)より緩やかに、肌を明るくする/保つこと。
【アンチオキシダント】
抗酸化の意味。紫外線などでダメージを受けると肌内で活性酸素が発生して酸化する。十円玉が酸化すると錆びるように肌が酸化(=老化)するのを予防する。アンチエイジングの意も。
【BBクリーム】
ブレミッシュバームの略。美容整形などの術後のスキンケア+紫外線ケア+肌色コントロールが一つでできるため韓国でブームに。男性でクマ消しなどに使う人も。似た存在にCCクリームがある。