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スケートキャンプに、タフで陽気なメンツが集合! スケーターたちの“TENT CITY”

日本各地のスケートパークを巡って三日三晩滑り倒す。スケーターの久保勝也さんが店主を務める祐天寺の美容室〈guru's〉。この店に集まる仲間たちとスケートキャンプを始めて10年になるという。過去に例を見ない悪天候のなか決行された、弾丸ツアーに同行した。

photo: Joji Shimamoto / text: Chisa Nishinoiri

天気予報、最悪。台風並みの嵐の襲来で都内では外出禁止令まで出る始末。
でも、「休み取ったし、行くしかないでしょ〜」と、13人の男たちを乗せた2台のハイエースバンは北関東を目指して北上した。

祐天寺〈guru's〉外観
午前7時、寝ぼけ眼で祐天寺〈guru's〉に集合。

テント、寝袋、BBQグリル、必要最低限のギアだけを持ち、午前7時に出発した車は、1時間半ほどで目的地のつくば市に到着。武骨なコンクリートセクション越しに見えるのは、収穫を終えた白菜畑と瓦屋根の古い日本家屋。このコントラストはハンパない。

すぐにでも滑り出したい衝動を抑えながら、まずはテント設営。かろうじて、雨はまだ落ちてきていない。とはいえ吹き荒れる暴風。パーク内に転がるブロックや砂袋を駆使したところで、テントが張れるわけもなく……、数張の自立式テントが破損して設営は一時断念。

デッキ VANS オールドスクール
デッキと靴は雨を避けて前室に。道具は大事!

すると待ち兼ねたように、男たちはデッキを持ち出して一斉に拡散。雨が降り出す前に少しでも、このハードコアなパークを攻略したいのだ。昼過ぎまでひとしきり遊ぶと、風が和らいだタイミングでパーク裏の杉林にテントを張ることに。今宵のベースキャンプはここに決定。

午後3時、ついに暴風雨が来襲。遊び場を失った彼らは、車で40分離れた屋内ランプに避難。外の嵐もどこ吹く風、ここでもTシャツ姿で日没までたっぷり3時間滑り倒す。しかしこの間、天候は最高潮に大荒れ。林間に立てたテントが、かなり心配……。

暗闇のなかベースキャンプに戻ると、あるはずの場所にテントはなく、半数ほどが大破。破れたテントを補強したり、バンドで木に括り付けたり、負傷したテントを全員総出で救出作戦。壊れてしまったテントの主は車内泊が決定……。

なんとかみんなの塒を確保したら、ようやく晩餐!恒例の屋外BBQは断念し、近くの中華料理屋〈陳来〉へ。
ジャンボ餃子とデカ盛り肉炒めが、疲労と寒さで萎え切った五臓六腑に染み渡り、腹ぺこスケーターたちも大満足。たらふく食べて外に出ると、嵐はすっかり過ぎ去り、空には星が輝いていた。

元気を取り戻したスケーターたち。ここから、長い長いキャンプの夜が始まる。ペンキ缶に枝をくべ、火をおこす。硬質なコンクリートパークに温かな火が灯る。

サウンドシステムから流れるビート、コンクリートを擦るホイールの音が暗闇に包まれた田舎町に静かに吸い込まれていく。見上げれば星空。月明かりに照らされたブロックパーティは、夜半まで続いた。