Visit

「出西窯と山陰の民藝」展が群馬県桐生で開催。実演のほか、限定の作品も展示販売

繊維産業が古くから栄える群馬県桐生市。この街で迎賓館として使われていた築100年以上の建物で、出雲民藝協会全面バックアップのもと、特別展示が2週間ほど行われる。都内でもなかなかお目にかかれない貴重なイベントは足を運ぶ価値あり。

山陰エリアは民藝運動における、いわば象徴的な場所として知られる。河井寬次郎、柳宗悦、濱田庄司、バーナード・リーチらに直接教えを受けた工房が数多く存在する。そのスピリットは地域全体に染み渡り、今でもモノ作りにおいて生かされているのが特徴的だ。イベントでは陶器以外にも、籠や和紙、鉄工芸、磁器なども出店予定。気に入ったものは実際に購入もできる。

今回の企画は日本民藝協会の副会長であり、出雲民藝協会会長の多々納真さんが監修に入っている。桐生で出西窯の魅力を伝え続けるお店〈BELLÙRIA〉との話し合いから生まれたものだ。毎年のように窯元に足を運び続け13年間にわたって交流し、お互いを理解したからこそ実現した催しと言える。

「出西窯と山陰の民藝展」チラシ
今回のパンフレット。会場となる「四辻の齋嘉」は、築100年を超す古民家。繊維の街、桐生の迎賓館のような役割を担った建物。

目玉である出西窯の歴史は1947年に始まったというから、思いのほか若い。先述の民藝運動の指導者たちに教えを乞い、実用で美しい陶器を世に送り出してきた。農村工業の共同体構想を掲げた出西窯創始の5人の青年の意志は今にも脈々と受け継がれるが、ここ数年の民藝ブームの中で人気を得てもなお、自分たちを民藝と呼ぶのはおこがましいと、控えめな職人が多いという。

出西窯の工房前
出西窯の工房前。

参加する出雲民藝協会所属作家は以下の通り。

初日、2日目は多々納真さんが在廊。お話を聞く機会が設けられており、その他いくつかの実演も行われる予定という。また、期間中は栃木県益子町の古書店〈内町工場〉が選書した民藝にまつわる本が並ぶ予定なので、こちらも見逃せない。

会場では毎日地元の飲食にまつわるお店も出店。いぐさのお茶〈藺草茶寮〉による販売、ジェラートの〈わびさびや〉が出西生姜を使ったメニューを提供したり、オーストラリア仕込みのこだわりのコーヒースタンド〈warmth〉が出店するほか、日曜日はお弁当屋さん〈ごずこん〉も登場。

10月1日(土)はすぐ近くの桐生天満宮にて骨董市も開催の予定なので、併せて出かけたい。