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着る

尹勝浩、好きな服との付き合い方。心地よく着るために干す、アイロンをかける

好きな服をずっと大切に着る。古くなるのはむしろ歓迎で、ただし清潔さは損なわないように。服と靴と人と時間。そのあるべき付き合い方とは。教えてもらうなら、やはりこのお2人。

photo: Shunya Arai / illustration: Kazutaka Tsugaoka / text: Satoshi Taguchi / edit: Ryoko Iino, Tamio Ogasawara / styling: Shinichi Sakagami / hair: Atsushi Momiyama

きれいに着る

洗濯は昔からいろいろやっていて。一番初めは小学校の修学旅行の前日。ジージャンをジーパンと同じ色にしたくてブリーチしたんです。
塩素系漂白剤で。親にはすごく怒られましたが、それからですね。洗剤を探したり試したりするようになったのは。

そうやって今の方法に落ち着いています。例えばシャツで気になる襟の裏。ここには重曹を使います。
浸透させなきゃいけないので、濡らしたり、酸素系の漂白剤をスプレーしたりしてから、パラパラかけておく。皮脂の汚れは酸性なので、アルカリ性のものを使うと落としやすいんです。

重曹、実はすごくよく使うんです。お風呂を洗うのにも、歯磨きにも。だいたい1ヵ月で1kgがなくなっていきます。そう。私の生活は重曹でできてます(笑)。あとは防水スプレー。汚れ防止であらゆるものにかけてますから。

つがおか一孝 イラスト
いろいろ試して、定まってきたケア用品。シリカゲルはスーツケースに。

試しながら辿り着いた
優しい洗濯の知恵。

重曹をかけたシャツは、ネットに1枚ずつ入れます。ネットは¥100ショップ等で買えるので、そこは惜しまずに(笑)。
襟や袖口など、汚れている部分が表側になるようにします。下着や靴下は、詰め込むのもアリかもしれませんが、シャツは広がってる状態で洗いたい。なのでネットは特大サイズを。洗濯は水流が大切です。

洗濯物も一度に詰め込まず、複数に分けます。水量は多めに。すすぎは2回。
洗いの水は残り湯を使っているし、洗剤も界面活性剤や蛍光漂白剤が入っていない石鹸タイプを使っているので、しっかりすすぎたくて。生地にも環境にも優しい洗剤ですが、泡切れはよくない。それが残っていると、黄ばみの原因にもなりますね。

それから、2回目のすすぎの時に、クエン酸を入れます。重曹でアルカリ性になっているのを中和するんです。
そのままだと生地が硬くなってしまうので、ふっくら仕上がるように。タオルなんかだと、よくわかりますよ。あとはハッカ油も。除菌と防虫、消臭の効果があるんです。

こんなふうに話していると、なんだかこだわり屋みたいですが、もともとはものぐさなんです。
だからこそ、なるべく手をかけず効果的に洗いたくて。いろいろ試したりもしてきましたが、本心では、あれもこれもと足し算的な使い方はしたくないんです。理想は、水だけで洗ってキレイにできたらベストなんですけどね。

ただ、汚れが強力な時は、重曹の代わりに強力なアルカリ性を持つセスキが良さそう。まだ開封してないので、保険みたいな存在になっていますが。あと油汚れには防水スプレーがおすすめです。油性同士なので、拡散させることができる。それでも〈天龍〉の餃子には敵いませんでしたけどね。

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シャツは無印良品のハンガーを愛用。パンツはすべて上下逆さに干す。

心地よく着るために
干す、アイロンをかける。

干す時は白いシャツなら日向に。色柄物は日陰です。ハンガーには、第1ボタンだけを留めた状態で掛けますね。シャツは襟元が開いているのが好きではないので、開かないように癖をつけておくんです。

ボタンダウンシャツだと襟のロールも気になるので、その形も整えます。乾いてからだと洋服は直しにくいので、濡れているうちに整えておく。着る時のことを想定して干しておくといいですね。

これはジーンズも一緒で。昔は特にヴィンテージとかだと数ヵ月も洗いすらしなかったですが、今は穿いたら裏返して水とハッカ油で洗います。洗濯機の弱水流で。干す時はパンツハンガーに。上下逆さまにして、裾の前後をピンチで留めます。

そうすると縮んだりねじれたりしにくいし、横にも広がらない。センタークリースじゃないですけど、それっぽいクセがつけられます。それから裾も、普段穿く時に折り返す位置で、折ってから干すようにしています。

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着る前にだいたいの服はアイロンがけ。スタンド式の台が毎日活躍。

アイロンは着る直前にかけますね。特にこだわりはないんですが、シャツの袖にタテにラインが入るのが嫌で。それだけは入らないようにします。

ラインが入ってしまう部分を先にずらしながらかけて、それから袖のシームに沿ってたたんでプレスします。その時にも、袖の外側の端までかけないように、生地をある程度逃しておくんです。慣れてしまえば、時間はかかりませんよ。

そういえば、アイロンをかけてすぐ着るのはよくないっていう方もいますよね。スチームが残っているからって。
でもイタリアの知人が、アイロンをかけたてでシャツを着た方がいい、襟を引っ張れば、より自分の体にフィットした形になるんだって言ってたんです。言い訳っぽいですが(笑)、あり得るような気もします。

革靴のケアでは、特別なものを使ったりはしていません。頻度も決まっていないし、気づいた時にクリームやワックスを入れるくらい。ノリが悪ければリムーバーで落としたりもしますけど。ただ磨く時はとことん磨き上げます。

集中してやっても、1足あたり20分くらいはかかりますね。でも普段はシューツリーを入れて、乾拭きをする程度です。ブラシじゃなくて、生地屋さんで買ってきた、白のコットンネルを適当な大きさに切って使っています。

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ビスポークの〈ジョージクレバリー〉はトウとヒールをハイシャインで。

私は扱いは雑な方だし、歩き方も悪かったり、足の組み方も偏りがあったり。そうするとどうしたって、靴底の減り方とか、ジーンズの色の落ち方に出てきてしまいます。
もちろん普段の心がけで乗り越えたいとも思いますけど、年齢が年齢なんで、受け入れなきゃいけない現実だったりもします。

それを受け入れつつも、ケアできることはやれる範囲でケアをしてあげたい。だから、生地に優しい洗濯方法を考えるのが好きだったりするんでしょうね。そうやって、クセや個性と、服や靴のキレイさとが、バランスよく定まっていくといいのですが。ものとの付き合い方が、装いに表れてくるのが理想です。

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日常的にブラシがけも。特にシーズンオフの服とハットは念入りに。