本場を百度訪ねた中国通・奥村忍が推薦!東京・総武線沿いで味わえるガチ中華2選

ガチ中華街が点在する東京。奥村忍さんは、総武線沿いの2つの街にある店・錦糸町〈李湘潭 湘菜館〉、新小岩〈貴州火鍋〉を推薦する。本場を百度訪ねた民藝のプロが、ガチ中華のリアルを語る。

photo: Kazuharu Igarashi / text: Koji Okano

毛沢東の愛した湖南料理がここに。錦糸町〈李湘潭 湘菜館〉

「錦糸町の〈李湘潭 湘菜館(りしょうたん しょうさいかん)〉は毛沢東の出身地、湖南省の料理を提供するレストラン。中国の辛い料理の代表格として日本では四川料理が挙げられますが、あれは“麻辣(マーラー)”と表現される唐辛子と花椒(ホワジャオ)が醸す痺(しび)れるような辛さ。湖南料理は、ただただ辛いというのが僕の印象です(笑)」

すり鉢で具材をつぶしながら食べる擂辣椒皮蛋(レイラージャオピーダン)は、湖南料理を代表する一皿。すりこ木を動かすたびに、生唐辛子の鮮烈な香りが鼻をかすめ、口にすれば刺激的な辛さが脳天を突く。「湖南省では、これをアテに白酒(バイジウ)を飲むのが慣習です」と、店長の徳重賢さん。奥村さんがよく注文する干锅(ガングォ)も、スープが少ないドライな鍋料理ゆえ、乾燥唐辛子のスパイシーさが、ダイレクトに舌に伝わる。

一方で、湖南省は内陸に位置するために新鮮な食材が入手しづらく、発酵の食文化が発達した。“酸辣(スワンラー)”と呼ばれる独特の辛味が生まれた由縁で、麺料理の定番・米粉(ミーフン)は高菜の酸味が効いた、爽やかな辛さを放つ。

独自発達した貴州の発酵料理を守る。新小岩〈貴州火鍋〉

「さらに中国の発酵文化の奥深さに触れたいなら、新小岩〈貴州火鍋〉へ。貴州省はさらに内陸に位置するために塩が入手しづらく、代用として発酵の酸味を効かせる調理法が発達しました。乳酸発酵させた唐辛子、泡辣椒(パオラージャオ)を使った発酵野菜(泡菜)の炒め物は、複雑に辛味と酸味が絡み合う唯一無二の風味で、ほかでは食べられない代物。先人が知恵を絞って編み出した珠玉の一皿です」

砂肝と発酵野菜の炒めもの、塩漬け辛子菜とキュウリの焙煎唐辛子和え
泡辣椒はパンチのある辛味と爽快な酸味、凝縮された旨味を併せ持つ。これで風味づけした砂肝と発酵野菜の炒めもの1,518円は濃厚で辛い!飲むヨーグルト440円やライス300円を付け、定食にすることも。塩漬け辛子菜とキュウリの焙煎唐辛子和え(写真手前)は968円。
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