女優・八木莉可子が案内。新千歳空港から訪れた5スポット 〜前編〜

大都市・札幌から程近く、道央の主要エリアへのアクセスも良好な北の玄関口〈新千歳空港〉。一大リゾート地ニセコ周辺のスポットや話題のウポポイ(民族共生象徴空間)などを女優・八木莉可子さんがショートトリップ。素晴らしい旅の思い出を語ってくれました。

photo: Yusuke Abe / text: Yu-ka Matsumoto / cooperation: and wander, MARGARET HOWELL, THE NORTH FACE

カルチャー:
ウポポイ(民族共生象徴空間)

新たな価値観を知るアイヌ文化の伝承地。

アイヌ文化の復興・創造・発展の拠点として、2020年7月に誕生したナショナルセンターが、ここ〈ウポポイ(民族共生象徴空間)〉です。

正直、教科書や学校で習う程度の知識しかなかったアイヌ民族のこと。特に人と神様が支え合うという「カムイ」の考え方は、自分の中になかった新たな世界観を得ることができました。

ウポポイがあるのは、アイヌ語で大きな沼という意味を持つポロト湖のほとり。その幻想的な景色のなかに約10万m2の広大な施設があり、ミュージアムや公園などが点在。豊かな自然に囲まれたアイヌの生活スタイルを感じることができるのも魅力です。

カムイは人間界に存在するさまざまなものに宿り、人々に恵みを与えます。その贈り物を受け取った人々は盛大な儀式を行ってカムイをカムイモシリ(カムイの世界)へ送り帰すという、循環を繰り返して生活をしています。

最近、よく目にするサステイナビリティの原点は、ここにあるのかもしれませんね。もう一つ興味深かったのは言葉。アイヌ語は、独自の文法を持ち、かつては文字を必要としなかったのです。

すべて記憶と口承で文化が伝わってきたことには、とても驚かされました。世界的にも珍しいことですよね。

温泉:
大湯沼川天然足湯

ただの川じゃない世にも珍しい天然足湯。

全国的に有名な登別温泉にそれはあります。日和山が噴火して生まれた爆裂火口の跡にできたのが大湯沼。湯気が立ち上るさまは、とても日本とは思えないぐらい雄大で、自然のエネルギーに満ち溢れているものでした。

大湯沼の駐車場から、お目当ての足湯に向かうまでの道中、噴出する大迫力の硫黄泉に目を奪われながら歩いていくと、幼き頃に感じた、ワクワクする不思議な感情が込み上げてきました。舗装路から森深く続く遊歩道に入ったら、冒険の始まり。

大湯沼から溢れ出た温泉が流れる大湯沼川が、山を下る間に徐々に冷まされていき、足湯エリアに到着する頃には適温に。徒歩での所要時間は約15分。
歩道やデッキスペースは造られたものだけど、それ以外は自然にできた場所だというから本当にびっくりです。

大湯沼川天然足湯
温泉が渓谷に川となって流れてくる珍しいスポット。それが溜まる場所に、足湯のデッキが設置されている。

もちろん、天然の足湯は初めての経験。熱すぎずちょうどいいお湯加減なのでいつまでも浸かっていたくなりますね。砂利やゴツゴツとした石をじかで感じられる足湯は、整備の行き届いていないその野性味も魅力の一つ。

少し歩かないと辿り着けないので、見つけた時の「うわ、これか!」という感動と達成感が記憶に残ると思います。あと、この秘境感も自慢したくなるポイントですね。

グルメ:
東千歳バーベキュー

鶏の炭火焼きをガブリと豪快に!

無類の鶏肉好きを公言している私ですが、とある噂を聞きつけ、知る人ぞ知るという千歳エリアの隠れた名店を訪れることに。

空港から車で夕張方面へ。青々とした美しい畑が広がる国道234号。しばらくすると、のどかで開放感溢れるなかに、特徴的なかまぼこ形のかわいい納屋がポツンと現れます。見逃し厳禁。
食いしん坊の旅人を魅了してやまない〈東千歳バーベキュー〉に到着です!

飲食店とは想像もつかないその入口には、年季を感じる「や・き・と・り」の暖簾が。入店するや否や炭火の香ばしい匂いと熱気に全身包まれて、早くもノックダウン寸前。炭火台と並行する横長のベンチに腰かけて、早速“バーベキュー”を注文。

すると女将さんが、鶏肉の塊を網の上にドサッとセットして塩コショウで味つけしてくれます。はやる気持ちを抑えつつ、自分でじっくり焼き上げます。きつね色になった頃合いを見計らい、豪快に手でかぶりつく!

「外はパリッ、中はジューシー!」。これは鶏料理史上ナンバーワン。いい意味で殺風景な空間と「暑い、熱い」と言いながら食べるその体験までもが、おいしさを5割増しで後押ししてくれるはずです。大将、女将さん、また来ます!

女優・八木莉可子
圧巻のボリュームながら誰もがペロリと完食。その悪魔的ウマさに、取り憑かれること間違いなし。