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韓国・ソウルで起きる進化系ドーナツの“ビッグバン”

その土地で愛されるローカルでディープなドーナツを求めドーナツが一番盛り上がっている都市、韓国の首都ソウルへ。もともと揚げ菓子文化が盛んなこの町で、独自のスタイルで進化を遂げているドーナツに注目!

photo: Lee Jun Yong / text: Rumiko Ose

伝統菓子クァベギから創作ドーナツまで沸騰中!

新しいカルチャーの発信地として話題に事欠かない韓国の首都ソウル。なかでも今一番沸騰しているスイーツがドーナツ。実は、「クァベギ」という伝統揚げ菓子のおかげで、韓国人にとっては元来、馴染み深いもの。クァべギは、小麦粉にもち粉を混ぜた生地をねじり、油で揚げたもの。日本の「揚げパン」のようで、世代を問わず、愛されている。

伝統的にドーナツの下地があるソウルで、ブームの火つけ役となったのは、2019年の〈ランディーズ・ドーナツ〉の上陸や〈OLD FERRY DONUT〉である。これらの店は、グレーズの豊富さや、リングドーナツにフィリングを詰めるなど、新しいドーナツシーンを作った。

ここ数年、その影響を受けたドーナツショップが続々と誕生し、スタイルはより多様に。トマトにバジルクリームを合わせたり、ベーコンやアボカド、コチュジャンを使った食事系が出たりなど、枠に収まらない創作ドーナツが人気を博している。

そしてついに、ソウル市民のソウルスイーツである伝統揚げ菓子クァべギが再注目の的に。生地にチョコやピスタチオなどを練り込んだり、ティラミスやトウモロコシなどのトッピングをのせたりと具材や見た目も多彩で、進化が止まらない。

個性的なグレーズをまとったリングドーナツ、ヴィーガン向け、韓国の伝統調味料を使ったスパイシーな食事系など、想像のはるか上を行く多様性に注目してほしい。

イェンナルクァベギ(独立門 トンニンムン)

40年以上庶民の小腹を満たしてきた地元スイーツ

1960年代から栄える庶民の台所・霊泉市場で、40年以上続く有名クァベギ店。1日平均5,000〜6,000本、夏でも2,000本作るという。レシピは店ごとに異なるがここでは小麦粉に加え、もち粉を2割ほど混ぜて、もっちりした食感に。クァベギ3本1,000ウォン。

韓国〈イェンナルクァベギ〉

BONTEMPS(松坡 ソンパ)

クァベギが華麗に変身して新感覚のストリートフードに

話題のショップが軒を連ねる松理団通りに昨年誕生。クァベギの販売に長く携わっていたイ・サンフンさんが新しいスタイルを夢見て開発。店のショーケースにはティラミスやカヤジャム、トウモロコシののった個性豊かな12種類のクァベギがずらりと並ぶ。2,500ウォン〜。