塩
海水から人の手で作られた塩は、甘味も苦味もある
原料となる塩を加工するのではなく、日本で海水を汲み上げて作る塩。製法は6種6様だが、どれも自然と人の手で結晶にしたものだ。
（1）黒潮源流塩 SAI
塩味、旨味、苦味のバランスがいい釜炊き塩／黒潮源流に最も近く、汚染されていないきれいな海水が得られるとされる日本最西端の島、与那国島（よなぐにじま）。ここで生まれ育った若き作り手が、薪で火力を調節しながら、平釜で海水を炊き、結晶にした塩。海水で変色しやすい釜を毎日磨くことで、真っ白に仕上げた塩は、粒子の違いで5種あり、SAIは最も粒が細かい。「塩味、旨味、苦味のバランスがいいので、料理に幅広く使える」（高橋）、「繊細な吸い物や煮物にもいい。僕も使っています」（生江）。
与那国海塩
TEL：0980-84-8933
FAX：0980-84-8930
HP：http://www.yonaguni-kaien.net/
（2）太陽と風がつくる豊島の海を丸ごととじ込めた塩（冬塩）
カルシウムを含んだ塩は、発酵食品作りに／
瀬戸内海に浮かぶ小さな島・豊島（てしま）。かつて塩作りが盛んだった地で、東京から来た夫妻が作る塩。汲み上げた海水を、火入れをいっさいせず、天日と潮風だけで結晶にする。通常捨てられることが多い、製塩過程でできるカルシウムも独自の方法で結晶の中に閉じ込めた。これは冬に製塩したもの。「ミネラルが大変豊富な印象で、味わい深い。一方で、塩分もしっかり感じられるので、発酵食品作りや、肉や魚の塩焼きにも」（高橋）。
てしま天日塩ファーム
TEL：0879-62-8822
MAIL：contact@teshima-salt.com
HP：http://teshima-salt.com/
（3）ひんぎゃの塩
火山の地熱を利用した塩は、肉に合わせたい／伊豆諸島南端に位置する火山の島、青ヶ島。この島出身の女性が、汲み上げた海水を、火山から噴き出る地熱蒸気＝ひんぎゃを利用して、1ヵ月間かけて作った塩。ひんぎゃで、13日間かけてゆっくりと水分を蒸発させ、結晶化が始まったら、それを平釜で炊き、乾燥させる。この製塩法は、世界でも珍しいという。「ミネラル感の余韻が続くので、肉料理に合いそう」（高橋）、「ステーキに使ってみたい。肉の脂と合わせると、ちょっと燻製のような感じになって、おいしいと思います」（生江）。
青ヶ島製塩事業所
TEL：04996-9-0241
（4）能登のはま塩
日本海の風を感じる塩は、魚に合わせたい／海水を染み込ませた砂をかき集めて、濃い塩水を取り出し、それを釜で炊き上げて塩を作る揚げ浜式製塩法。日本で唯一珠洲（すず）市に残る揚げ浜式塩田で、その製法を江戸時代から守り続けている角花家が作る塩。現在は、5代目と6代目が親子で製塩している。「塩味を旨味や甘味、苦味が包んでいる感じ。サクサク感もあって、能登の風を感じるから、魚向き」（高橋）、「塩味のインパクトも強すぎない」（生江）、「味わいがソフトで、後味が印象的」（太田）。
揚げ浜塩田 角花豊
TEL & FAX：0768-87-2857
MAIL：shio87164@gmail.com
（5）土佐の山塩小僧
驚くほど甘い塩は、山の中で作られる／神戸出身の男性が、四万十（しまんと）川の中流に位置する山あいで、20年ほど前から作っている塩。海から汲み上げてきた水を、車で運ぶこと、40分。日照時間の短い山の中に造ったハウスで、太陽の力を借りて、ゆっくり、ゆっくり濃度の濃い塩水を作り、結晶にした天日塩。一袋に入る塩の粒子も、あえてまちまちに。「甘味や旨味が驚くほどあるので、溶かさずに、そのまま使いたい。粒子もまちまちなので、野菜サラダに振って、そのムラを楽しむといいかも」（太田）。
塩の邑工房
TEL & FAX：0880-26-0369
MAIL：mtsolt.aho@gmail.com
（6）くがにまーしゅ
海水を食べているかのようなミネラル感！／宮古島と石垣島の中ほどに位置する多良間島（たらまじま）で、“人の体に優しい塩”を追求し続ける作り手による塩。塩作りに適しているとは言い難い高温多湿の気候の中、天日の力だけを頼りに、濃縮して、結晶化させる。もんだり、ゴミを取ったり……1ヵ月余り手塩にかけて作った塩は、粒子が粗めでキラキラ。「ほんま、海水を口に含んだぐらいのミネラル感がある」（高橋）、「すべての栄養素が入っている感じ」（生江）、「ゆっくり溶かして、ドレッシングなどに使いたい」（太田）。
多良間海洋研究所
TEL & FAX：0980-79-2500
生江
塩化ナトリウムだけでなく、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど、いろいろな栄養素を感じる。
高橋
どの塩も、塩味、旨味、苦味、甘味を持っているけれど、製塩法によって、味の感じ方やバランスが違っていて、それが個性になっている。
生江
（2）や（6）のように天日だけで結晶にするのと、（1）や（4）のように釜で炊くのでは、味わいが変わってきて、天日の方が、よりシャープ。
太田
同じ釜炊きでも、火山の地熱を利用している（3）は、にがりっぽさを感じますし、（4）や（5）は塩なのにむしろ甘さを感じる！
生江
（5）は、海水を山に運んで、檜（ひのき）のハウスで結晶にした塩か。面白いなぁ、釜で炊かないのに、甘い！
高橋
食べる塩やね。（1）は吸い物、（3）は肉、（4）は魚……と、使い分けできるなぁ。
生江
6種類も試したのに舌が疲れないのには、驚きました。
醤油
淡口からたまりまで。木桶が目に浮かぶ、ふくよかな味と香り
効率のいい脱脂加工大豆ではなく、生産者がわかる豆そのものを材料に、菌が棲（す）みついた木桶で、長期間じっくり熟成させたものをセレクト。
（7）生成り、うすくち 2019
お湯で割っただけで吸い物になる！ 淡口。／大学で醸造学を学び、修業を積んで、40年以上途絶えていた自社醸造を復活させた若き4代目が、地元・糸島産の大豆、小麦、米を原料に造った淡口。淡口用に濃厚な甘酒を仕込み、それを合わせて熟成させるのが特徴で、ワインのように、仕込んだ年をラベルに記している。「お湯で割っただけで吸い物になるぐらい、旨味がある」（高橋）、「かけるだけで、おいしくない豆腐も、おいしくなりそう」（生江）、「野菜の煮物に使いたい」（太田）。
ミツル醤油醸造元
TEL：092-325-0026
FAX：092-325-0654
HP：http://www.mitsuru-shoyu.com/
（8）天然丸大豆醤油 巽 晃
バランスのとれた味と香りを持つ濃口／明治7（1874）年より、この地で醤油を造り始めてから、今日に至るまで、昔ながらの製法を守り続けてきた蔵元。《巽晃》は、地元・愛媛の契約農家から届く、無農薬・無化学肥料栽培の大豆と小麦、鳴門産の塩を使用。吉野の杉桶で、1年半以上かけてじっくり熟成させた濃口。「バランスのとれた濃口らしい醤油なので、どんな料理にも使いやすい」（高橋）、「吸い物など、だしの風味を生かすなら、ニュートラルなこの醤油に決まり」（太田）。
梶田商店
TEL：0893-24-2021
FAX：0893-24-3119
HP：https://www.kazita.jp
（9）杉樽三年熟成醤油
色鮮やかな濃口は、200年蔵の杉桶仕込み／国の登録有形文化財となっている、江戸・寛政年間に造られた醤油蔵。ここに棲みついた醸造菌を宝に、塩吊りと呼ばれる、麹を塩に慣れさせる作業から、手作業による圧搾まで、なに一つ製法を変えることなく、醤油を造り続けてきた蔵元による濃口。200年蔵で3年間熟成し、旨味を引き出した。「家庭で、淡口、濃口を分けずに1本常備するなら、これがいいと思います」（高橋）、「白身の魚に合わせるなら、断然これ！」（生江）。
丸中醤油
TEL：0749-37-2719
FAX：0749-37-4363
HP：http://www.s-marunaka.com/
（10）丸大豆天然醸造醤油 百寿
機械を使わず造った醤油は、懐かしい味と香り／創業は江戸・安政年間。東日本大震災で蔵1つが倒壊するも、残された蔵を大切に、機械を使わずに醤油を造り続ける蔵元が、湯沢産の大豆、地元・秋田産の小麦、天日塩、そして井戸水で造る、昔ながらの濃口。小麦を石炭で煎り、石室（いしむろ）で麹を造ったら、100年以上続く杉桶で仕込み、漆塗りの木船でゆっくりと搾る。「昔ながらの、懐かしい味と香りがします」（生江）、「赤身の魚もいいですが、肉にも合わせてみたいですね」（太田）。
石孫本店
TEL：0183-73-2901
FAX：0183-73-8131
HP：https://main-ishimago.ssl-lolipop.jp/
（11）鶴醤
木桶も手がける蔵元の、やわらかな再仕込み／木桶醸造の減少とともに、桶屋も衰退の一途を辿り、いまや1社のみ！このままでは本物の伝統調味料が造れなくなってしまうと危機感を抱いた5代目が、一念発起。技術を習得し、桶作りから手がける、小豆島の蔵元が造る看板醤油。国産の大豆と小麦を使用し、2年熟成させた生醤油を、もう一度桶に戻し、大豆と小麦を加えて、さらに2年熟成。手間も材料も2倍かけて造る再仕込み。「甘味と旨味を感じる。白身魚にも合うと思います」（生江）。
ヤマロク醤油
TEL：0879-82-0666
FAX：0879-82-1293
HP：http://yama-roku.net/
（12）豆のたまり（ぎん わらべうた）
洋食にも使える、甘味のあるたまり醤油／豆味噌・たまりの本場とされる愛知県の武豊町で、明治初期から続く蔵元が造るたまり醤油。材料は、愛知県産の丸大豆と、伝統海塩のみ。大豆を蒸してたまり麹を造り、塩水とともに木桶に仕込み、発酵、熟成させること足かけ3年。桶の底から滴る稀少なたまり。「鶏肉につけて焼くだけで、おいしい焼き鳥になりそう」（高橋）、「甘味があるので、フレンチのソースの隠し味に使えます」（生江）、「赤ワインの煮込みを作る時のコク出しに」（太田）。
南蔵商店 青木弥右エ門
TEL：0569-73-0046
FAX：0569-73-0091
HP：https://minamigura.com/
太田
丸大豆の持つ油のおかげか、熟成期間なのか。ほとんどの醤油が、お酒を足すぐらいで、料理の味を決められちゃうんじゃないかな。それぐらい、ふくよか。（7）も、淡口なのに塩気がやわらかくて、驚きました。
高橋
ほんとにどれもしょっぱくない。（12）のたまり醤油でさえ、まろやか。（10）（11）（12）は、香りなのかなぁ、木桶の風景が浮かんでくる！
生江
（11）は、まさに、木桶作りを学んで、復活させようと頑張っている蔵元の再仕込み醤油ですが、甘味と旨味が感じられますね。
高橋
滋賀で造られた（9）は、関西の味というか、すごく身近に感じる。
生江
関西の白身魚に合いそうな、色を見ないと淡口のような濃口。江戸時代から続く杉樽で造られているというから、やっぱりそこの風土に合った味になるのかな。逆に、（10）は赤身魚に合いそうですしね。
味噌
麹が生きた味噌は香りが豊かで立派な料理だ
米、麦、大豆。麹をつける材料は違っても、温度調節や添加物で、無理に発酵を進めたり、止めたりしない。味噌蔵で自然に発酵させた味噌6選。
（13）白味噌
自然な甘さのきんとんみたいな白味噌／創業百余年を数える味噌店が、いまも店内で造っている、京都の和食店御用達の白味噌。トヨマサリを主体とした北海道産大豆と国産米、塩を使用し、美しい色味に仕上げた。「ここまで白いものはなかなかないので、隠し味にも使いやすい」（高橋）、「自然な甘味でそのまま食べてもおいしい」（生江）、「いままで食べた白味噌の中でいちばんおいしい。砂糖が入っていないとは思えないほど、甘味があり、まるで大豆で作ったきんとんのよう」（太田）。
山利商店
TEL & FAX：075-541-7603
（14）麦味噌
食べた瞬間、麦麹の香りがドンと迫ってくる！／麹をたくさん使って造る、塩分の少ない麦味噌は、愛媛や山口、九州地方で親しまれている味噌。60年余り、その麦味噌のみを3代にわたって造り続けている蔵元が、愛媛県産のはだか麦と香川県内で製造の塩を使用。大豆は使わず、はだか麦を発酵させた麦麹のみを塩と一緒に杉桶で仕込み、3ヵ月から半年間、発酵、熟成させて造る。「おいしい納豆汁が作れるんじゃないかな」（生江）、「ベタですけど、そのままキュウリにつけて食べてもおいしいと思います」（太田）。
井伊商店
TEL & FAX：0895-22-2549
HP：https://iimiso.com/
（15）未来
自然栽培の原料だけで造った限定の米味噌／1914年創業の蔵元が、100年後の未来に向けて、木桶を新調。農薬も化学肥料も使わないで育てた自然栽培の材料だけで造った珍しい米味噌。自家採取した麹菌で米麹を造り、北海道産の自然栽培大豆、韓国の伝統塩キパワーソルトと塩田結晶塩、地下水で仕込み、10ヵ月、発酵、熟成させて造る限定生産品。自家栽培した大豆で造る味噌も。「味噌汁に仕立てた時に深みが出ておいしくなりそう」（高橋）、「手造りらしい味がする」（生江）。
マルカワみそ
TEL：0778-27-2111
FAX：0778-27-2877
HP：https://marukawamiso.com/
（16）宮古みそ
宮古に棲みつく菌で発酵させた麦味噌／宮古島で評判の味噌を造っていたおばあの味を受け継ぐ麦味噌は、気候風土を生かし、麹菌を一切振らないで造る、非常に珍しい味噌。長年の勘を頼りに、ドアの開け閉めで温度と湿度を管理。すると、そこに棲（す）みついている菌が大麦に自然に付着するのだという。それを薪火で炊いた国産大豆、沖縄の塩とともに木桶で仕込む。「八丁味噌に近い旨味はあるけれど、八丁ほど料理を選ばないので、コクや旨味を加えたい時に。中華料理に使っても、面白いと思います」（太田）。
マルキヨ味噌
TEL & FAX：0980-72-1816
（17）玄米麹味噌
この地に伝わる麹歩合による甘味が印象的／1954年に麹店として創業。備前長船で3代にわたって味噌や甘酒を造り、現在は自社で大豆栽培まで手がけているという蔵元が造る玄米麹味噌。地元で栽培された朝日米やアケボノの玄米を使い、通常の2倍という、この地に古くから伝わる麹歩合で仕込んでいるのが特徴。「甘さと旨味が合体していて、香ばしさもある。おいしい味噌ですから、なんにでもいけると思います」（高橋）、「お米を噛んだ時のような甘さが印象に残ります」（太田）。
名刀味噌本舗
TEL：0869-26-2065
FAX：0869-26-2043
HP：http://www.meitoumiso.com/
（18）吟醸・宝山味噌・粒
味も食感もやわらかい尾張の豆味噌／創業から約140年、味噌・たまりの醸造一筋の蔵元が、北海道産の大粒大豆を使い、3年間、発酵、熟成させて造る豆味噌。蒸した大豆を玉にして豆麹を造り、塩水で仕込むのは、三河地方の八丁味噌と同じだが、蔵元がある尾張地方では、水分量が三河より多め。そのため、味もテクスチャーも、八丁味噌に比べてやわらかい。「肉味噌を作る時に使ってみたい」（生江）、「マーボー豆腐などに入れる豆豉（トウチ）の代わりに使っても面白いと思います」（太田）。
中定商店
TEL：0569-72-0030
FAX：0569-72-0020
HP：http://www.ho-zan.jp/
生江
どれも、麹が生きているのがよくわかる。特に（14）の麦味噌は、麹がバーンっと迫ってくる！あとね、香りがある。（18）の豆味噌は、煎りゴマみたいで、こんな香り、初めて！
高橋
（16）は麦味噌なんだけど、それこそ八丁味噌のような風味がする。
太田
麹菌を人工的に振りかけるのではなく、蔵の中に自生する麹菌を利用した、珍しい味噌なんですよ。
生江
そう言われれば、沖縄の泡盛工場を訪れた時と同じ香りがする！
高橋
（13）の白味噌はもちろんだけど、どれも全然しょっぱくない！
生江
だから、いくらでも食べられるし、食べ飽きない。材料の割合や熟成の違いで、色も味も食感もここまで違うものができるんですね。
高橋
もはや立派な料理。菌が生きていて、色も味も変化するので、そのままの状態を維持するなら、小分けして冷凍するなど保存方法も大事。
油
素材の味が伝わる、そのまま飲めるクオリティに驚き
輸入した原料を、有機溶剤で溶かして作る油とは別物。原料となる農作物は1種類。それを厳選し、時には自ら栽培し、時間をかけて、低温でゆっくり搾ったものばかりだ。
（19）プレミアムなこめ油コメーユ
プレミアムなこめ油コメーユ／創業から71年。米どころの天童市で、業務用を中心に米油を製造してきた会社が、さらに原料と製法にこだわって作った油。精米工場の中に、米ぬかの酸化を防ぐ機械を設置し、新鮮なうちに加工。栄養素も風味も損なわないよう、有機溶剤や薬品を使わずに、圧搾、精製している。「サラッとしていて、クセがないので、料理全般に使える。てんぷらにも良さそう」（高橋）、「食材がカラッと揚がりそう。酸化しにくいのもいいですね」（生江）。
三和油脂
TEL：023-653-3021
FAX：023-653-3960
HP：https://sanwa-yushi.co.jp/
（20）無濾過・菜の花油
菜種を無農薬で栽培。焙煎しないで搾った油／北海道南部の上ノ国町。日本海を見下ろす牧場に咲き誇る菜の花で、町の特産品を作りたいと、夫妻が始めた工房。国産品種であるキザキノナタネを、期間中、農薬を使わずに栽培。収穫した菜種を天日干しにし、焙煎しないで、低温圧搾した、国産で初めての無濾過の菜種油。「サラダやマリネなど、食べる感覚で使うとおいしいと思います。材料を焙煎していない、風味が穏やかな油なので、揚げ物に使っても良さそう」（太田）。
天の川・菜の花油工房
TEL & FAX：0139-55-2923
HP：https://murokanqtqne.base.ec/
（21）向日葵油
無農薬のヒマワリ油は、スパイシーな香り！／菜種油を作っていた90代の油職人に弟子入り。油作りを学んだ20代の女性が、立ち上げた油工房。ゴマ油、エゴマ油、菜種油などを、製法のみならず、材料にこだわって製造。これは兵庫県で無農薬栽培されたヒマワリの種子を、低温でじっくり焙煎し、圧搾した油。「カレーに使う、ターメリックを思わせる香りがする！」（生江）、「洋風でも和風でも、どんな料理にも合うと思います。ナッツ系のオイルと同じような感覚で使えそう」（太田）。
ablabo.
MAIL：ablaboinfo@gmail.com
HP：https://ablabo.org/
（22）玉締めしぼり胡麻油
焙煎していながら、ゴマの香りが穏やか／伝統的な製法で作られるゴマ油の未来を危惧した初代が、1948年に創業。その志を変えることなく、煎ってすり潰したゴマを、玉締め機と呼ばれる昔ながらの圧搾機でゆっくり抽出。いまも、手すき和紙の筒で、丸1日かけて濾過して仕上げている。「焙煎しているんだけれど、焙煎しすぎず、その手前で止まっているので、香りが穏やかで、使いやすい」（高橋）、「このぐらいゴマの香りが穏やかなら、洋食で肉や魚を焼くのにも使えそうな気がします」（生江）。
松本製油
販売店、取り寄せ先など問TEL：048-981-2495
（23）黒ごま油
自然栽培の黒ゴマを焙煎しないで搾った油／長年、食に携わってきたホテルマンが、地元に戻って原料となるゴマを栽培するところから作っている油。自家農園で、農薬、肥料、動物性堆肥を使用しないで自然栽培した黒ゴマを収穫して、選別。焙煎せず、そのまま低温で圧搾、濾過して作る限定生産品。製造工程に一切火が入らないので、黒ゴマの栄養素がそのまま。「せっかく非加熱で作った油なので、野菜のサラダや和え物など、火を入れないで使いたいですね」（太田）。
西川農藝
TEL：0858-27-0886
FAX：0858-27-0887
HP：http://www.nishikawa-agriart.com/
（24）飛騨生搾りえごま油
飛騨の在来品種で作るエゴマ油は、受注生産／エゴマを使った飛騨の郷土料理を提供している民宿が手がける油工房。この地で代々、栽培されてきた在来種の“黒種エゴマ”。地元農家が栽培したこのエゴマを収穫し、温度と湿度を管理した倉庫で生きた実の状態で保管。注文が入ってから、低温で圧搾する完全受注生産の油。「シソのような香りが印象的。料理にぜひ、使ってみたい」（生江）、「爽やかで、これ自体にハーブ感があるので、サラダや青菜の炒め物にいいと思います」（太田）。
飛騨えごま本舗
TEL：0577-57-7801
FAX：0577-57-7802
HP：https://shop.hidaegoma.jp/
生江
油のテイスティングはキツイだろうなぁと、覚悟してたんだけど、普通に飲めて、サラダ油で育った世代には、びっくり。特に（19）の米油！
高橋
最後にお米の甘味や旨味のようなものが、ちゃんとくる。
太田
（20）の菜種油は、単一品種の菜種を無農薬で栽培して、焙煎しないで搾っている。自然栽培した黒ゴマで作る（23）の油も焙煎していない。最近の油は、料理の味を邪魔しない、自然な香りに仕上げたものが増えているような気がしますが、これも原料に自信があるから、できること。
生江
（22）は焙煎してるけれど、ゴマが主張しすぎず、すっきりしている。
高橋
（21）の向日葵（ひまわり）油はスパイシーな香りがするし、菜種油は土っぽさがあって香ばしく、（24）のえごま油はハーブのような爽快感がある。作物の個性が感じられて、面白いなぁ。
酢
米、キビ、どぶろく。酸味がまろやかで、個性はじける味
もととなる酒造りを怠ったり、人工的に空気を送って、酢酸発酵させたりしない。米酢なら酒を造るところからこだわり、自然に任せて、ゆっくりと酢酸発酵させた多彩な酢。
（25）老梅 有機純米酢
とびきりフルーティな有機栽培米で造られた酢／江戸後期から酢造りをしてきた老舗の蔵元が、有機栽培米で造る米酢。契約農家からの有機栽培米に加え、3分の1は毎年、自社で有機栽培した米で仕込むという。手作業で麹を造り、飲むためではなく、酢にしておいしい濃厚な日本酒をまず、造る。そこに酢酸菌を加え、3ヵ月間かけて、ゆっくりと酢にしたもの。「とてもフルーティなので、飲み物に使ってもいいんじゃないかな」（生江）、「野菜のピクルスを作るのにも良さそう」（太田）。
河原（こうばら）酢造
TEL：0120-703-275
FAX：0779-66-3271
HP：https://robai.jp/
（26）本造り純米酢きぶき
日本酒にこだわって造ったザ・米酢／創業慶安2（1649）年。創業370年を超える老舗の食酢メーカーが、原料と製法にこだわって造った純米酢。精米歩合70％の国産米と六甲の天然水から造られた良質な酒を、江戸時代から受け継ぐ伝統の静置発酵法で1ヵ月～1ヵ月半かけてお酢に。地元で有機栽培されたコシヒカリを使った純米酢も。「まろやかなんだけど、お酢の香りや酸味がちゃんと感じられる」（高橋）、「とても米酢らしい米酢なので、どんな料理にも使えますね」（太田）。
マルカン酢
TEL：078-857-0501
FAX：078-857-0507
HP：https://www.marukan.com/
（27）吟醸赤酢
日本酒の蔵元が造る珍しい赤酢／日本酒に少しでも酢酸菌がつけば、酢になってしまう。そのため、日本酒の蔵元で、酢を造っているところは稀。そんな中、“良い原材料と丁寧な手仕事で、いかに良質な酸を引き出せるか”をテーマに、どちらも手がける蔵元が造る赤酢。山田錦100％の純米大吟醸の酒粕を3年以上熟成させ、さらに純米酒を加えて仕込み、30石大木桶で4ヵ月以上、発酵、熟成。「熟成香があるので、ほかの香りや味が加わると、料理の表情が変わるかも」（高橋）。
九重雜賀
TEL：0736-66-3160
FAX：0736-66-3163
HP：https://www.kokonoesaika.co.jp/
（28）さとうきび酢 きらさん
南の島でサトウキビから造られた酢は、潮の香り／沖永良部島（おきのえらぶじま）の、サンゴ質の土壌で育ったサトウキビから造る、島に伝わる伝統の酢。傷をつけないよう、一本一本手で刈り取り、葉を除いたサトウキビから、汁を圧搾。島の硬水と一緒に仕込み、10日間ほどアルコール発酵。そこから、およそ2年。発酵、熟成させ、出来上がったもの。「酸味がとても穏やかなので、使いやすいと思います。そのまま寒天にかけたら、ところてんになりそうな、海の香りを感じます」（太田）。
さとうきび酢 宗屋
TEL：0120-678-945
FAX：099-223-3531
HP：https://www.kirasan.com/
（29）どぶ酢
気鋭の造り手がどぶろくから造った、にごり酢／どぶろく文化が根づいた遠野地方に生まれ育ち、いまやサラミやチーズまで、あらゆる発酵食を作り出しているという、若き造り手によるどぶろくの酢。無農薬、無肥料栽培で原料となる米を作り、清酒の製造方法を応用して、洗練された味わいのどぶろくを造る。ここに、水と自ら育てた種酢を入れ、発酵、熟成させた、ちょっと珍しいにごり酢。「リッチな旨味があるので、酸味と旨味を同時につけたい時は、これをドバッと使っています」（太田）。
とおの屋 要
TEL：0198-62-7557
FAX：0198-62-4365
HP：http://tonoya-yo.com/
（30）坂元のくろず
仕込みから収穫まで。壺で造られる伝統の黒酢／初代が、酢の町・霧島市福山町で壺酢を造り始めたのは江戸後期。時代とともに廃れていく中で、唯一、その製法を守り、酢造りを続けている酢造所。陶器の壺の中に、米麹、蒸し米、地下水を仕込み、そのまま1～5年。糖化からアルコール発酵、酢酸発酵、熟成まで、すべて壺の中で進む、世界でも珍しい製法の黒酢。「香ばしさが感じられる。酢飯に使ってみたい」（高橋）、「香りがとても穏やか。いろいろな料理に使えるのでは」（生江）。
坂元醸造
TEL：099-258-1777
FAX：099-250-1555
HP：http://www.kurozu.co.jp/
生江
（29）のどぶ酢は、お酒からちゃんと造られているのが、よくわかる。まさに、酸味のあるどぶろくの趣！
太田
この造り手は、塩を使わずに発酵食品を造ったり、料理人として1日1組のオーベルジュもやっていて、めちゃくちゃ面白いんですよ。
生江
サトウキビを栽培して造っている（28）のキビ酢も南の島の潮の香りがして、面白い。
太田
2年間、じっくり発酵、熟成させているせいか、酸味のカドがなく、甘味も感じられて、まろやか。
生江
（26）の米酢も甘味があって、酸っぱいのは苦手だけど、飲めます。
太田
（25）（26）（27）は、どれも米から造られているのに、味わいが違う。有機米を使ったは、米酢で感じたことがないほどフルーティ。
高橋
（27）の赤酢は、熟成香を感じるし。同じ原料でも、蔵元の個性を感じますね。
みりん、砂糖
国産サトウキビと、米から生まれた上質な甘さに脱帽
みりんは、水あめを加えたりせず、もち米、米麹、焼酎だけで糖化、熟成させて搾った本みりんを。砂糖は、原料糖は使わず、日本でサトウキビを収穫して作った、機械で精製されていないものをセレクト。
（31）純米本みりん 飛鳥山
静岡のみりんは、すっきりとした甘さ／江戸・天保年間創業の日本酒の蔵元が造る、静岡で唯一の本みりん。江戸時代に確立したとされるみりん本来の造り方にならって復刻製造したもので、麹・もち米ともに精米歩合を80％と低くすることによって、きめの細かい上品な味わいに仕上げている。「レンゲやアカシアの蜂蜜を思わせる、あっさりとした甘さ。すごくきれいな、澄んだ味やね」（高橋）、「ババのシロップに使っても面白いかもしれない」（生江）、「デザートにそのまま使えそうですね」（太田）。
杉井酒造
販売店、取り寄せ先などは問TEL：054-641-0606
（32）一子相傳
名産地で造られた、料理を呼ぶみりん／三河みりんの名産地・碧南市にある、小さなみりん蔵が、すべて国産原料で造ったみりん。うるち米から手作業で麹を造り、国産のもち米ヒヨクモチと国産本格米焼酎で仕込んで、約2ヵ月間、糖化、熟成。圧搾した後、さらに3年間熟成させて、まろやかにした、火入れをしていない生詰めのみりん。「コクがあるので、これはやっぱりデザートより、料理に使いたい」（高橋）、「べっこう飴のような甘さと麹を感じる」（生江）、「素材の味を際立たせるみりん」（太田）。
小笠原味淋醸造
販売店、取り寄せ先などは問TEL：0566-41-0613
（33）福来純 古々美醂
10年熟成させたみりんは、リキュールのよう／江戸時代から続くみりんの蔵元が、限定販売している長期熟成本みりん。手作業で造った米麹と自家製の米焼酎を90日間かけて、糖化、熟成。搾ったみりんを、さらに10年間熟成。カラメル色のとろりとしたテクスチャーに。「バニラアイスにかけてもいいね」（高橋）、「紹興酒のような感じで、脂のある豚肉と合わせてもおいしそう」（生江）、「（30）の黒酢とこれを合わせて酢豚を作ったら、贅沢の極み！」（太田）。
白扇酒造
TEL：0120-873-976
FAX：0120-873-724
HP：https://www.hakusenshuzou.jp/
（34）阿波和三盆糖
手と水で精製された砂糖はとびきりエレガント／香川、徳島の在来品種であるサトウキビ、竹糖。これを、かの地で砂糖作りが始まった240年前とほぼ変わらない製法で作る和三盆糖。竹糖から砂糖の原料となる白下糖を作り、蜜を抜き、手と水でひたすら研いで白く精製していく工程は、世界でもここだけだという。「これはそのまま食べてもおいしいね」（高橋）、「甘味が上品なので、コーヒーには不向きだと思いがちですが、風味を邪魔してほしくないコーヒーにはこれを使いたい」（太田）
岡田製糖所
TEL：088-694-2020
FAX：088-694-2221
HP：http://www.wasanbon.co.jp/
（35）生砂糖
粗めの粒に蜜が残る、しっとりとした生砂糖／生野区の商店街に直営店も構える砂糖問屋が作る人気商品。薩南諸島で採れたサトウキビを、その場で搾って、原料となる白下糖に。そこから蜜を抜いただけの、精製されていない生砂糖は、粒が粗めで、表面に黒砂糖のような蜜が残り、しっとりとしているのが特徴。「サクサク感があって、甘味もさっぱり。ソースやたれの味に余韻を残したい時に使うといいかも」（高橋）、「すっきりしているのにコクがある。溶けやすそうなので、パンや焼き菓子にも向いてそうですね」（生江）。
鴻商店
TEL & FAX：06-6716-1219
（36）黒潮シロップ 潮風のイリノザトウ
黒潮町で200年続く製法で作る黒糖／江戸時代から続く黒糖作りの火を絶やしてはならない、と発足した入野砂糖研究会。そこに所属する夫妻が、サトウキビを自家栽培して作る黒糖。沖縄とは違い、黒潮町での収穫は年1回。サトウキビを搾ったら、特別な木桶釜で丁寧にアクを取りながら煮詰め、最後は松の薪で炊き上げる。「黒糖の持つコクがありながらも、えぐみはそれほどない。いままで黒糖を使っていた料理にこれを使うと、一味違ったものになるのでは」（太田）。
イノタネアグリ
販売／まなべ商店 TEL：0896-77-4422
Facebook：https://www.facebook.com/Manabeya/
生江
本みりんは、お酒だよねぇ、酔っ払いそう（笑）。
太田
熟成期間の違いによって、色も甘味も変わっていくのが、面白い。（31）は、上質なシロップみたいに爽やかで、10年熟成させた（33）は、これ、究極のリキュールですよね。
高橋
（33）は、黒糖に近いコクがありますね。
太田
（36）は、まさにその黒糖ですが、色も一般的なものに比べて薄いですし、味も上品。完全無農薬でサトウキビを栽培して製糖していますが、最近はここのように、丁寧に作られた黒糖が増えている気がします。
高橋
人の手で精製された（34）の和三盆は、もう、雑味が一つもない！
生江
（34）が色白の女性なら、（36）は海の男のような魅力があり、どっちもいい。自然な甘味と旨味がある。
