5日目:シティサウナの極北!海上に無数のサウナ小屋が
「今サウナで最も面白そうな国はどこか?」といえば、ノルウェーではないかと風の「うわサ話」で聞いていた。ノルウェーには風変わりな施設が多いのだ。
そこでオスロを中心にサウナを巡ろうと旅程を組んだ。宿はオスロ中心街にある高級老舗ホテル〈Grand Hotel Oslo〉に決めた。オスロ市民の愛するホテルで、1階のカフェで食事をするのがステータスなのだという。
実はホテルの最上階には〈Artesia Spa〉があり、サウナもある。市街を見渡せる外気浴スペースはまさにシティサウナの極北!
すっかりととのった後、2021年10月に完成した新ムンク美術館の湾岸部へ向かうと、きらびやかな建築群に交ざって、海上にサウナ小屋が無数に浮いていた。これは東京でたとえれば、東京駅のそばに海があり、そこに屋形船でなくサウナ小屋が浮かんでいるという状況!これは期待できる。
昨夕サイトで予約し、朝からオスロ湾のムンク美術館側に位置する〈Sukkerbiten Oslo Badstuforening〉へ。“Oslo Badstuforening”とは、この施設を運営している“オスロサウナ協会”の意味で、2016年にサウナ好きのアイスバスクラブのメンバーが集まり結成された非営利の組織だ。
利益はサウナのさらなる発展のために還元しており、21年にオスロ市民からベスト協会に選ばれたことも。市民にいかに愛されているかがわかるサウナ団体だといえよう。
複数のサウナ小屋が集まった〈Sukkerbiten〉のサウナ室に入ると、修道士をしている男性が話しかけてくれた。
「ここの1号小屋は流木や廃材を利用して造られたんだ。それからたくさんのサウナがあっという間に増えていったのさ」
地元の人の説明を受け、簡素なサウナ小屋が輝いて見えた。
対岸に位置する〈Bademaschinen Oslo Badstuforening〉は、先の施設より小さく、サウナ室が2室だけ(といっても16人入る)。僕らと同じタイミングで地元の若者たちが入りに来ていて、サウナ室でおしゃべりしては皆海へ飛び込んでいた。中には15分ほど冷たい海で泳ぎ、漂い続ける猛者も⁉都会の中心地でも海の水が汚れていないため、海水浴を楽しむことができるのだ。
それにしてもコミュニティの中心として、サウナを都市部の最重要地点に設けたノルウェーという国の文化度の高さに敬意を表したい。日本も見習うべき街づくりといえるだろう。