サウナビルダー・野田クラクションべべーも唸る!フィンランドで訪れたサウナ5選

フィンランド式のアウトドアサウナをたのしめる〈The Sauna〉の支配人・野田クラクションべべーさんが、数年ぶりにフィンランドを再訪。今回は数十軒のサウナを巡り、あらためてフィンランド式サウナの魅力を認識したという。そこで、旅のなかでもとくに印象に残ったサウナ施設を5つピックアップしてもらった。

photo: Noda klaxon bebe,Ayana Kobayashi / text: Towel Kanai

フィンランド式サウナとは
すなわち“ロウリュ”である

長野県・信濃町にある〈The Sauna〉は、本格的なフィンランド式サウナを体験できる場所として、サウナ好きから絶大な人気を誇っている。同施設の支配人である野田クラクションべべーさんは〈The Sauna〉をオープンさせる前に一度、フィンランドへ赴き現地のサウナを視察している。

しかし、そのときは勢いまかせに渡航したため、公衆サウナが夏休みを取ることも知らず、完全な形で目的を果たすことはできなかった。時は流れ、2022年6月。万全の状態で向かった約2週間に及ぶ視察旅行では、前回を上回る数のサウナを訪問。その旅でフィンランド式サウナの真髄である“ロウリュ”の重要性を再認識したという。

「日本のサウナって、“乾燥していて、室温が高い”というイメージが強いですよね。その感覚でフィンランドのサウナに入ると、『あれ、なんだかヌルいな』と感じてしまうかもしれません。ですが、そこにはちゃんとした理由があるんです。フィンランド式サウナでは、ロウリュのためにサウナストーンを温めることがなによりも重要。ロウリュすることで体感温度が上がるので、サウナ室自体はそこまで暑くする必要がないんです」

巡ったすべてのサウナが良かったとのことだが、なかでもとくにロウリュが印象的だったサウナを5つピックアップしてもらった。いつか、フィンランドでサウナ巡りをしたいと考えているのなら、ぜひこちらを参考にしてみては!

ラヤポルッティ・サウナ(Rajaportti Sauna)

伝統と革新が同居。
現存する最古の公衆サウナ

「ここは、サウナ目当てでフィンランドに行くなら誰もが訪れる観光名所的な施設です。ぼくは天の邪鬼なところもあるので、正直どうなんだろうなんて思っていたんですけど、いざ行ってみれば、たしかに別格でした。

ただ古いだけではなく、歴代のサウナフリークたちが常に細かいアップデートを繰り返しているので、常に進化していて。そうかと思えば、バケツの水を床に置いてはいけないといった細かなルールもちゃんと受け継がれている。

フィンランド中のサウナを巡ったわけではないのですが、現状ではナンバーワン・ロウリュです!」

タハメラン・サウナ(Tahmelan Huvilan Sauna)

実験を繰り返すのは
上質な蒸気を生み出すため

「屋外から新鮮な空気を取り込むためのダクトを設置したり、天井部分に蒸気を動かす板が貼られていたり。最高のロウリュを生み出すための工夫がそこかしこに仕掛けられています。〈The Sauna〉では“毎日、変化する”をコンセプトのひとつに掲げているので、すごく勉強になりました。

蒸気がどうやってお客さんの体を包み込み、そして部屋の外に逃げていくのか。細かいレベルで対流について考えるのって、めちゃくちゃロマンがあるじゃないですか。

と、これはかなりマニアックな話ですけど、建物自体もフィンランドの伝統的なお屋敷を改装しているので、それだけでも見る価値があります。最高のロウリュを浴びたいなら、ここにも行くべき! サウナ後に湖ダイブもできますよ」

ニエミ・カペー(Niemi-Kapee)

フィンランド人の
夏休みが体感できちゃう!

「フィンランドでは、夏の間をサマーコテージで思い思いに過ごすひとが多いんです。ここは、そんなフィンランド人の夏休みを味わえます。オーナーが自ら建てたコテージに、やはりオーナーが設計したサウナ室。つくりはシンプルですが、ベンチの高さも完璧。サウナ室のなかからガラス越しに湖が見える設計にも感動しました。

タンペレから近いので、レンタカーで行くにしても距離感がちょうどいい。敷地内にはスモークサウナもあるので、大人数で行った方がより楽しめるとおもいます」

バイキング・サウナ(Viking Sauna)

風変わりなサウナの
テーマパーク

「サウナをつくりたいひとには、ぜひ〈バイキング・サウナ〉へ行ってほしいですね。スモークサウナなど王道は押さえつつ、ビニールシートでできた「ランドスケープ・サウナ」や船を改造したサウナなどなど。思いついてもやらないだろうっていうアイデアを、どんどん形にしていくオーナーのサウナ愛が最高!

なかでも、サウナ室にブランコを設置した「スイング・サウナ」は笑いました。ただの悪ふざけだろ! って思うでしょ。でも、動くことによって蒸気をより熱く感じられる。その洒落とクリエイティブのバランスが絶妙です。水風呂は敷地内に湧き出る“キレイな泉”なんですが、それすらもオマケに感じられるほど、変なサウナが目白押しの場所ですよ(笑)」

カンカーンサウナ(Kankaan Sauna)

フィンランド式サウナで水風呂!
都市型サウナの最前線

「サウナ→ シングル(水温が10度以下のことを表すサウナ用語)のプール→外気浴と、日本のサウナ施設っぽいルーティンがたのしめます。フィンランドまで来ても、やっぱりこれがいいよな、なんて思っちゃいました。

とはいえ、サウナ室は暑すぎることもなく、ちゃんとフレッシュな空気を取り込んでいるのでロウリュの質も高いのが流石です。ユバスキュラの中心部から近くて、受付にはバーを併設。タオルや水着、ヴィヒタのレンタルサービスなどもあり、現代のフィンランドにおける都市型のサウナはどうあるべきかを体現している施設です」

サウナ旅におすすめのアイテム

速乾性に優れた
リネンのタオル

フィンランドのタオル ラプアンカンクリ(LAPUAN KANKURIT)
様々なブランドのリネンタオルがあり、サイズやデザインも豊富。

「フィンランドのサウナ施設にはレンタルタオルがあまりないので、みなさん自分好みのタオルを持参していました。ぼくのオススメはリネン製のもの。速乾性に優れていて、大きめのサイズでもコンパクトに収まるので便利。ぼくは〈ラプアンカンクリ(LAPUAN KANKURIT)〉のものを現地で買いましたが、ほんとうに大活躍してくれました!」

サウナ用の水着は
多めに持つべし

「フィンランドでは水着着用のサウナ施設がほとんど。なので、同じ日に幾つもサウナ施設を巡るとなると、水着を乾かすタイミングがない、なんてことも。そのため、水着は何枚か持っていくといいかも。そうすれば、サウナをより気持ちよく過ごせますからね」