駅弁は食文化。
お取り寄せでもご賞味あれ!
写真/文・櫻井寛
♪汽笛一声新橋を……と、日本初の鉄道が開業し150年の今年だが、日本の鉄道旅の風物詩といえば、駅弁で決まりだ!
けれども、2020年以降はコロナ禍によって鉄道も駅弁も低迷の中にあった。しかしながら、コロナ禍だからこそ急速に発達したものがある。宅配便もその一つ。そこで大好きな駅弁を自宅までデリバリーしてもらおうと考えた。題して「お取り寄せ駅弁」である。では、北から順に宅配可能な駅弁ベスト7を紹介しよう。
かにめし(北海道・長万部駅)
まず北海道代表は長万部駅(おしゃまんべ)のかなやの「かにめし」。ご飯の上に敷き詰められたカニ肉は、カニのほぐし身と筍(たけのこ)を混ぜ合わせ煎ったもの。口中に運べば香ばしさと共に幸福感でいっぱいに。宅配可能な「かにめし」は冷凍だが、加熱するとオリジナルの美味が甦る。
岩手短角和牛弁当やわらか煮(岩手・沼宮内駅)
「弁当、弁当!」と売子。そこに駅員が、「う(ぬ)まくない、うまくない」。これは国鉄出身の落語家三代目・三遊亭圓歌の十八番、「うまくない」とは駅名なのだ。そこは、現在の「いわて沼宮内(ぬまくない)」駅で、実は同駅にはすこぶる旨い駅弁「岩手短角和牛弁当やわらか煮」がある。岩手短角牛は岩手県の野山で自然放牧された和牛だが、特徴は脂肪が少なく旨味成分たっぷりの赤身肉。旨くてヘルシーな駅弁はクール便で到着。
炙りのどぐろ棒寿し(石川・加賀温泉駅)
北陸代表は加賀温泉駅の「炙りのどぐろ棒寿し」。時には一尾数千円という高級魚のどぐろが、ネット通販駅弁で食べられることが嬉しい。解凍は流水で20分。待ち切れずに口中へと運べば、のどぐろの得も言われぬ旨味が一杯に。
モー太郎弁当(三重・松阪駅)
愛されて20周年を迎えた松阪駅の「モー太郎弁当」。和牛顔のプラスチック容器を開けると美味しそうなお肉と共に、童謡「ふるさと」のメロディーが流れ出す。仕掛け人は明治28年創業の新竹商店6代目社長の新竹浩子さん。音楽と共に、いただきます!
吾左衛門鮓 鯖(鳥取・米子駅)
山陰本線は米子駅の名物駅弁「吾左衛門鮓 鯖」。その歴史は300余年。日本海の荒波で育まれ脂ののった寒鯖を酢でしめ、北海道産真昆布で包んだ棒鮓(ぼうずし)である。酢飯には棒鮓に最適な鳥取産ひとめぼれを使用。これらが一体となった深い味わいがたまらない。
穴子と椎茸のちらし寿司(広島・宮島口駅)
宮島口駅の「あなごめし」は、現地以外では入手不可の逸品駅弁。それを取り寄せが可能なように新たに開発されたのが「穴子と椎茸のちらし寿司」。なのでお取り寄せ駅弁の中でも特別な存在だ。冷凍便で届き、解凍すれば、「温(ぬく)寿司」のできあがり。
うまか!博多かしわめし(福岡・博多駅)
九州では鶏飯のことを「かしわめし」と呼ぶが、博多の名物駅弁「うまか!博多かしわめし」が新鮮凍結弁当として新発売。松栄軒6代目の松山幸右社長曰く、「駅弁はうまかですたい!」。